ブックタイトル日本シティジャーナル vol.205

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概要

日本シティジャーナル vol.205

2020年(令和2年)5月30日発行第205刊毎月第3土曜日発行購読無料ださい、という行政からのお願いを徹底することです。家から出られると、感染が拡大する可能性があるからです。しかしながら、この方法では家庭内感染を助長することにもなりかねません。実際、家庭内感染が、感染ルートの大きな割合を占めた理由がそこにあります。言い方を変えれば、医療崩壊を避けるため、複数の第三者に感染させるのではなく、家庭内に封じ込めておきたいという方針の現れです。新型コロナに感染しても8割程度は症状が出ず、自然に治癒してしまうことから、家で待機している間に自然治癒する方々も多くいるようです。よって、家で過ごしているうちにいつの間にか治ってしまう、というシナリオに期待しつつ、国は検査基準のハードルを上げてまで、医療崩壊を避けることを最優先して取り組んできたのです。その結果として時には自宅での孤独死であり、また、家庭内感染にもつながります。それでも医療崩壊を回避するためには仕方がないことという割り切りがありました。安倍首相が答弁において頻繁に語っていた「専門家の意見」とは、すべて医療崩壊を回避しながら医療を提供するという大前提に則ったアドバイスだったのです。幸いにもこれまで、自宅待機中に感染が原因で亡くなられた方はわずかであり、最悪の事態は回避したように見受けられます。日本では新型コロナウィルスによる感染者を全員特定することよりも、感染者数の急増を起因とする医療崩壊を回避するためにPCR検査数を意図的に抑え込み、医療現場の逼迫状況とのバランスを見ながら検査数をコントロールして、感染者の発覚数を制限するという方策がとられました。この方針に反対する専門家は特に海外では多いようですが、見解の相違であり、文化的な背景にも絡んでいるようです。その結果、今日、日本の行政機関が公示する感染者数とは、厳密な意味では感染者総数ではなく、感染の発覚者数です。検査しなければ感染者数はゼロになってしまう、というのが、感染発覚者数の原点です。よって非常事態宣言を首都圏においても解除されることになりました。その前提となる新規感染者の数とは、単に新規発覚者の数であり、感染者の数としてはあまりあてになりません。それをよしとするかどうかが問われています。PCR検査が日本で進まない理由日本では、専門家の意見を重要視し、医療崩壊だけは回避しなければならないとう前提で、保健所と医師の判断がなければPCR検査を受けることができない、というルールが作られました。たとえ新型コロナウィルスに感染していても、明確な症状がなければPCR検査を受けることさえ難しくしてしまったのです。また、微熱や下痢の症状が続いても、現実問題として医師が診察を断るような事例が後を絶ちません。一般の個人病院が院内感染を嫌うあまり、診察を拒否することは想像に難くありません。しかも何をもって必要か、不要か、という判断基準が曖昧であり、責任問題にもなることから、そう簡単にはPCR検査の承認を得ることができないのが現状です。結果として受診者がたらい回しにされ、その間、症状が悪化するという事例が後を絶たないのです。その結果、海外と比較しても検査件数が圧倒的に少なく、検査体制の強化が望まれます。5月下旬の時点では、感染の有無を確認するための、PCR検査の拠点となる「P C Rセンター」は東京都で29か所、全国では合わせて110か所になりました。これら「PCRセンター」は各自治体が地元医師会との協力のもとに整備した施設です。しかしながら、以前と同様に、あくまでかかりつけ医の判断と紹介があることが前提となっていることから、ハードルが高いのです。そもそも医師が院内感染を恐れるあまり新型コロナ感染の疑いがある人を診察しない事例が後を絶たず、PCR検査の判断基準もハードルが上がってしまっていることから、「P C Rセンター」に紹介される利用者の数は必然的に限られてしまい、当初の検査拡充という目的には程遠い状況が続いています。しかも検査を受けた人から採取した検体はすぐに分析されるのではなく、そこからいったん地方衛生研究所や民間機関に委託することが多いため、結果が出るまで時間がかかってしまいます。検査希望者はだれでもPCR検査をすぐに受け、その結果を数時間後に知る体制は、いつ実現するのでしょうか。本来は、海外諸国のように、PCR検査の窓口を民間企業、その他行政機関が一斉に取り組みながら、官民一体となって検査数を増やすことが望ましかったのではないでしょうか。しかし、日本は医療崩壊を防ぎながら、その中で適正な医療を提供する、というポリシーが専門家のコンセンサスであったことから、患者数を抑制するしかなかったのでしょう。PCR検査における検体採取には、さまざまな制約と必要不可欠な安全対策の強化が問われることから、簡単に急増させることができません。だからこそ、行政は民間企業を縛るのではなく、協力体制を当初から敷くべきだったのです。もはや時間がありません。民間が参入できない行政のハードルは撤廃し、2次感染に細心の注意が払いながら、開かれた社会の中で、誰もがPCR検査を必要と思う時に受けることができるシステムを構築するべきです。他国のように、海外から入国する際は、PCR検査を義務づけるような施策も検討課題として議論するべきでしょう。いずれにしても、保健所を通してまず連絡をする、という仕組みは機能しないことは明白であり、保健所が単なるマニュアル対応に終始していること自体、時間の無駄です。PCR検査を受けるためには、海外に行っていましたとか、濃厚接触がありましたとか、とにかくマニュアルに書いてあるような内容にそって虚偽の発言をしないと次のステップにいけない、というような愚かな状況から脱皮する時がきました。宣言解除後の新コロナ時代海外からの批判を日本政府は甘んじて受けながらも、新型コロナウィルスへの対策を地方自治体の協力のもと、積極的に実践しながら、日本国内では非常事態宣言後、感染者数を抑えることができました。政府が掲げた基準は下記のとおりです。非常事態宣言の解除目安:「直近1週間の10万人当たりの感染者が0.5人程度以下」そのうえで、1.感染状況2.医療提供体制3.PCR検査などの監視体制を精査して決めます。その結果、5月14日には39県において緊急事態宣言が解除され、続いて5月21日、関西3府県においても解除されることになりました。そして25日には首都圏においても解除されることが決定されました。しかしながら、「都内の感染者数は抑えられつつあるものの、保健所に受診相談をする件数などは依然として多い」のが実情です。しかも前述したとおり、これまでの緊急事態宣言の解除を決める根拠となる本当の意味での感染者数の減少が事実であるかどうかは定かではないのです。ごく少数のPCR検査の結果だけをみて、なぜかしら行政は緊急事態宣言解除を急いでいるようにも見えます。例えば首都圏においても感染の不安はいまだに払拭されていません。21日には栃木県宇都宮のスーパーで集団感染が発生し、心配するあまり、多くの市民から市に問い合わせが寄せられています。いつ、どこで、だれが感染するかわからないのが新型コロナの実態です。日本に限らず、世界全体がコロナ禍の直撃を受けて多くの感染者と死者数の増加が報告され、世界的に社会情勢は悪化の一途を辿っている今、日本も油断はできないのです。当初の予想をはるかに超えた新型コロナによる悪影響は、私たちのライフスタイルを一変させました。感染拡大を防ぐためには「密閉・密集・密接」の3密を避けて、新しいライフスタイルへの適応が不可欠となります。そして多くの人々が人との接触を避けるために家にこもり、「巣ごもり」という言葉まで流行するようになったのです。今や、人類はこのウィルスと共存しなければならない運命となりました。新しいコロナ時代の到来です。コロナ禍の猛威は人々の生命を脅かしているだけでなく、世界経済にも大きな打撃を与え、まさに1930年代の世界恐慌を彷彿させる事態となっています。その結果、日本の経済界にも激震が走り、5月15に日にはアパレル大手のレナウンが、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う大幅な販売減から経営破綻し、東京地裁から民事再生手続き開始の決定を受けました。大手企業だけでなく、多くの中小企業においても業績の悪化による経営破綻は、もはや免れません。東京商工リサーチによると、5月19日の時点で新型コロナの影響が原因とされる経営破綻は、既に150社を超えています。その数は、今後、急速に増えていくことが想定されています。いまだに世界中で多くの人が感染し、生命の危機に直面している最中、それでも先進諸国では経済活動の再開を重視するあまり、再び感染が拡大するリスクを承知の上で、矢継ぎ早に緊急事態の解除が宣言されています。しかしながら、新型コロナウィルスによる感染第2波がくることは間違いなく、一時も油断は許されません。日本社会全体が、そして一人ひとりが新型コロナに立ち向かい、その攻撃から身を守るためにしっかりと予防線を張って、新規感染を抑えなければなりません。コロナ新時代、悪いことばかりではない令和2年4月7日、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が出され、感染拡大防止のための措置がとられることとなりました。そして16日には対象地域が全国に拡大され、不要不急の外出自粛が要請され、都道府県をまたぐ移動自粛も強く求められたのです。法的な強制力は乏しい緊急事態宣言であるにも関わらず、諸外国でのパンデミック化による大混乱、大量の死者数増加に関するニュースを日々耳にした日本国民は、ほぼ自主的にその非常事態宣言に従って多くの人が家に「巣ごもり」するようになりました。まさに一世一代、ライフスタイルの大革命がおきたのです。確かに慣れない巣ごもりは短期間ならまだしも、時間が経つにつれて徐々に我慢の限界となり、欲求不満の爆発寸前に陥った人たちも少なからずいたことでしょう。それでも、新コロナ時代がもたらした巣ごもりによる社会への影響は、決して悪いことばかりではありませんでした。海外でも話題になっていますが、まず、一番良かったことは家族と過ごす時間が増えたことです。これまで皆が忙しくし、一緒に食事するどころか、話す時間さえなかった家族が、同じ屋根の下で共に時間を過ごすことになったということは、多くの家庭にとってまさに、青天の霹靂とも言えるできごとでした。そして当初はお互い、一種の違和感があるものの、段々と慣れ始め、いつしか一緒に食べたり飲んだり、話したり、時には遊んだりしながら、本来あるべき家族的な愛情が育まれていくようになったのです。無論、報道されているように諸外国を含め、唐突な同居生活の始まりという精神的なプレッシャーもあり、D V(家庭内暴力)が急増していることは残念であり、何とか回避する方法を考えたいものです。それでも、多くの家庭が本来のあるべき暖かい「ホーム」の姿を取り戻す機会を得ることができたのが、新コロナ時代の大きなメリットと言えるでしょう。新コロナ時代の利点はまだあります。多くの方々が気づかれたように、空が澄み切って空気がきれいになったことです。多くの工場が操業を停止し、排出されるばい煙も一時止まっていただけでなく、車の交通量が激減したことから空気が浄化されたのです。しかも、交通量が激減したことから、交通事故による死亡者も急減しました。それもそのはずです。不要不急の外出を避けている訳ですから、交通事故にあうはずがないのです。加えて空飛ぶ飛行機の数も半減以下となり、国際線に限ってはほぼ、皆無になりました。実際、仕事のためにJAL便で国内を移動した際も、航空会社に申し訳ないくらい、プライベート・ジェット状態のほぼ無人状態。コロナ感染の心配もなく、のびのびと搭乗できました。また、長距離路線バスに乗った際も、筆者一人が乗客という体験もあり、不思議な思いにかられます。新幹線の自由席も乗車率がゼロに近く、どこでも自由に座れ、首都高を車で運転しても渋滞は皆無で、いつもガラガラ。都内で時折電車に乗ることがあっても必ずソーシャル・ディスタンスを保って座ることができるので、交通に関してはいいことづくめです。筆者が個人的に最も注目している点は、夜が早くなったことです。何しろ、非常事態宣言下では都会でもほとんどのレストランが閉店し、たとえ開いていたとしいても、7時にラストオーダー、8時には閉店することが自主的にほぼ、実行されたのです。これは、外食をしながら生きている筆者の生活を大きく変えることとなりました。それまでは夜の8~9時頃に外食し、その後は違う店で一杯飲みながら仕事を夜半まで続けるというライフスタイルが当たり前になっていました。それがすべて前倒しとなり、7時までに店に駆け込み、8時までには食事を終え、そのあとは家に帰るしかない!という久々の少年時代のライフスタイルに戻ったのです。そのため、朝は前倒しで早く起きるようになり、自分のすることなすこと、すべて2~3時間は前倒しで実行するようになりました。実はこれが、健康にいいのです。夜、ワインを飲みながら遅くまで仕事をするのではなく、早く寝る!そして朝、早く起きてさっと気持ちを切り替えて、仕事にとりかかる!これがまさに、健康生活の秘訣ではないかと実感するこの頃です。さらにもうひとつ重要なコロナ新時代の利点は、自分が本当にやってみたかった趣味や芸の練習に時間を費やすモーチベーションが与えられたことです。筆者は20代前半まではプロのギタリストを目指して練習を重ね、バンド活動をしていましたが、その後は社会人として歩み始め、いつしかギターなど触ることがない日々が続きました。そしてふと気が付くと、あっという間に30年あまりの年月が経-2-