ブックタイトル日本シティジャーナル vol.207
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日本シティジャーナル vol.207
2021年(令和3年)1月1日発行第207刊毎月第3土曜日発行購読無料?????日本シティジャーナルvol. 207Nihon City Journal発行:サウンドハウス〒286-0825千葉県成田市新泉14-3TEL 0476-89-2333 FAX 0476-89-2334[平日]10:00~17:30[土曜]12:00~17:00http://www.nihoncity.com成田市、佐倉市、印西市、富里市、香取市、山武市、八街市、匝瑳市、四街道市、東金市、銚子市、旭市、栄町、東庄町、神崎町、酒々井町、多古町、横芝光町、芝山町、九十九里町、稲敷市、龍ケ崎市、河内町発行部数:300,000部あなたはワクチンの接種を受けますか?集団免疫を実現するためのワクチン接種に潜む多くの課題新型コロナウィルス対策最終章新型コロナウィルス感染症を防ぐためのワクチン実用化に向けて、様々なニュースが連日報道されています。2020年12月2日、ワクチン開発の先頭を走るファイザー社の申請が早くもイギリスで承認され、12月7日より接種が開始されました。それに追随して、アメリカでもF D A(米国食品医薬品局)が同ワクチンの緊急使用を許可し、その2日後には早速ワクチンの出荷が始まりました。当初、医療従事者や介護施設の入居者などを対象に接種が始まる見通しです。ワクチンの開発には最低でも3 ? 5年はかかるというこれまでの常識を覆し、1年少々で治験が終了した背景には、アメリカを含む諸外国が緊急措置をとったことがあげられます。慎重を期した治験を大前提とし、経過観察や副作用の確認、予防効果、有効性の解析などを長期間にわたって観察することにより、安全性を十分に確認してからワクチンをリリースするというこれまでのやり方では実用化が間に合わないということから、治験期間も2 ? 3か月に限定するというような様々な対策が急遽、諸外国で決められたのです。新型コロナウィルスのワクチンについては、当初からその安全性が様々な角度から取り沙汰されています。果たして治験期間を大幅に短縮しても、ワクチン接種は安全であるという太鼓判を押すことができるのでしょうか。ワクチン接種の普及を目指す日本政府ワクチン開発をめぐるニュースが日々、世界中に流れている最中、日本では11月18日、新型コロナウィルスの新規感染者が初めて2000人を超えて過去最多を更新し、それ以降も感染者数がうなぎのぼりになっています。連日、メディアは都道府県別の感染者数の報道に追われ、新型コロナ感染関係のトピックがニュースで語られない日はないほど、社会全体が正に重大な局面を迎えています。テレビ出演でもおなじみの医療の専門家、尾身氏も、「このままいくと国民だけではコントロールするのが難しく、さらに強い対応をしないといけない事態になる可能性がある」と語っています。よって12月13日、G oToトラベルが全国的に一時中止、という突然の発表が政府からあったことも、想定内の結論であったと言えるでしょう。感染者の急増という現実の問題が社会全体を揺るがす最中、感染の拡大を食い止めるためには、今や海外におけるワクチン接種の成り行きを見届け、安全性を確認することが重要課題となっています。米ファイザー社や英アストラゼネカ社が開発をすすめるワクチンの有効性は70 ? 95%と極めて高いことから、まずイギリスが先行して接種を開始しました。直後、アメリカでもFDA(米食品医薬品局)が緊急使用許可をファイザー社に与えることにより、2020年12月13日からワクチンの出荷がスタートしたのです。それらの結果を踏まえたうえで、国内においても早急に接種が開始できるよう、厚生労働省は手続きの簡略化を進めながら、様々な特例措置が検討されています。日本政府が掲げている目先の目標は、2021年前半までに日本国民全員分のワクチンを確保することです。そのため、海外の薬品大手3社から既に、合わせて1億4500万人分の供給を受けることで基本合意されていると伝えられています。しかしながら日本での治験はスタートがずれ込み、英アストラゼネカ社は8月から、米ファイザー社は10月より、遅ればせながら国内での治験に取り組んでいます。国内におけるワクチン接種の安全性を確認するための治験プロセスにおいては、当初から様々な問題が指摘されています。特にその規模感については未だに課題が残されています。米ファイザー社を例にとると、海外では世界中合わせて4万人以上の人々に対して治験を行っているのに対し、日本人の被験者は当初、たった160人しかいなかったのです。それほど日本では被験者が集まりにくいのが現状です。それでも2020年5月には新型コロナの治療薬としてレムデシビルを、特例措置を用いて短期間で承認した実績もあることから、国内におけるワクチン接種の体制づくりを速やかに実現することに、日本政府は余念がありません。感染症の事例とワクチン開発の過去人類の歴史を振り返ると、これまで様々な感染症が多大なる被害を及ぼし、多くの方が尊い命を落とすこととなりました。そして撲滅されることなく、今もって続いている感染症も少なくありません。被害が甚大であった感染症の事例には以下があげられます。1 .結核:例年2 0億人が感染、4 0 0万人が死亡2 .マラリア:例年3~5億人が感染、100~200万人が死亡3 .スペインかぜ(1 9 1 8年):4000万人が死亡(世界人口の2%以上)4.新型インフルエンザ(A/H1N1):1万8000人以上が死亡5.AIDS:過去6500万人が感染、2500万人が死亡この度のコロナ禍における世界的な被害は、歴史にその名を連ねてきた重大な感染症ほど、まだ被害は広がってはいません。しかしながら今後、それらに匹敵するほどの甚大な被害をもたらす結果となる可能性があることは否めません。よって、新型コロナウィルスの感染拡大をできるだけ早く食い止めるため、多くの専門家らはワクチンの開発と接種を熱望し、その早期リリースを待ち望んでいるのです。しかしながら、その安全性を確認するための治験には相応の時間がかかり、それが専門家の間で議論の焦点となっています。そもそも、安全性の確認を含むワクチンの開発には、長い年月を要すると考えられていました。例えば、戦後毎年1000人以上の患者が発生し、死亡率も30%と大変高かった小児麻痺を防ぐためのポリオワクチンが1955年にアメリカで認可されるまでには20年を要しました。ところが1960年、アメリカでポリオが流行したことから日本へのワクチンの供給が難しくなったのです。そして日本国内でも1961年の大流行を期に大量のワクチンが必要とされ、1300万人分の生ワクチンが急遽ソ連から輸入されることになりました。安全性の確認ができないまま、苦渋の選択を迫られた結果です。その緊急対応が功を奏し、幸いに事故例も殆どなく、患者発生率が急減することとなりました。はしかにおいては、ウィルスが分離されてから麻疹のワクチン認可が下りるまで9年の歳月を要しています。このような歴史的背景を踏まえると、この度のコロナウィルスに関わるワクチン開発が1年少々で達成できるとうことは、驚異的な速さです。WHO(世界保健機構)が発表した情報によると、世界中で新型コロナウィルスのワクチン開発が急速に推し進められている最中、既に3 0種以上ものワクチンがリリースされる途上にあり、世界各地で臨床試験が続けられています。その安全性さえ確認できれば、日本国内でもワクチンの接種が開始されることになります。つまるところ、その安全性を確認するプロセスをいかに短縮することができるかが、重要なポイントになっています。それにしても、通常4 ? 5年はかかると言われているワクチン開発が、たとえ医療技術と研究開発の仕組みが進化したとはいえ、治験のプロセスも含めて短期間で終了することが本当に可能なのでしょうか。昨今のAI(人工知能)のめざましい発展と共に、機械学習やテクノロジーが進化したことにより、新薬においても開発のスピードは速まってくると考えられます。しかしながら健常者を用いた臨床試験における副作用の検証や、実際の患者に投与して効果を見極めるプロセスなどは時間を要することから、半年や1年という短期間で安全性を確認し、ワクチンをリリースすることは極めて難しいと言われています。新型コロナウィルスのワクチン開発は、世界の国々を巻き込む世紀の一大プロジェクトであるだけに、慎重を期して治験を繰り返しながら、安全性に妥協することなく、適時にワクチンがリリースされることを願ってやみません。そもそもワクチンとは何か?ウィルスの感染症を防ぐワクチン接種とは、あらかじめ病原体の一部を体に入れることにより、免疫を担う細胞がそれを記憶して、病原体そのものの侵入から体を守るように設計された薬物投与を意味します。ウィルスに対する免疫を保持するためには、実際に病気にかかって抗体を自然に持つか、ワクチンを接種して人為的に免疫力を持つかのいずれかになります。これまで一般的に採用されてきたワクチンの仕組みとは、該当するウィルスをまず、不活性化させ、そのたんぱく質の断片を体内に注入して免疫をつくりあげていくという構想です。例えばV L Pワクチンは、見た目がウィルスにそっくりであっても、実はウィルスの殻だけであり、それに対して免疫反応が自然に起こるという仕組みを元に研究が続けられています。中身のないウィルスの殻であることから、病気の発症はないと目論む訳です。さらには殻に存在するウィルスの一部だけを取り出して、免疫補助剤を活用してタンパク質を組み変えたワクチンの研究も進んでいます。さらにはウィルスそのものの毒性を弱めた生ワクチンが使われる事例もあります。-1-