ブックタイトル日本シティジャーナル vol.207
- ページ
- 2/4
このページは 日本シティジャーナル vol.207 の電子ブックに掲載されている2ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 日本シティジャーナル vol.207 の電子ブックに掲載されている2ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
日本シティジャーナル vol.207
2021年(令和3年)1月1日発行第207刊毎月第3土曜日発行購読無料この度、新型コロナウィルスのワクチンが各国で開発されるにあたり、上記に加え、技術の進化と共に様々な新しい手法が取り入れられています。アストラゼネカ社が開発を手掛けたワクチンは、「遺伝子の運び屋」とも呼ばれるウィルスベクターを用いて、発病の可能性がないとされるウィルスに新型コロナウィルスの遺伝子の一部を付与し、体に投与する方法を取り入れています。ウィルスベクターを活用することにより、短期間でワクチンの開発が可能になりますが、その元となる別のウィルスが10 0%病気を起こさないか、そして新型コロナウィルスとの相乗により、何かしら想定外の副作用を起こす危険を秘めていないかなどの検証課題が残されています。また、ウィルスの遺伝情報を直接、体内に入れるという「遺伝子ワクチン」の開発も進められています。米モデルナ社が開発を手掛けるワクチンはメッセンジャーR N Aワクチンとも呼ばれ、既に遺伝情報を持つリボ核酸(R N A)をそのまま直接体内に入れることにより、免疫反応をおこすウィルスのたんぱく質を体内にて作りあげるという新しい試みです。同様に、ウィルスそのものを使わず、遺伝情報を有するウィルスのDNA設計図の一部を人工的に合成して活用する手法もあり、いずれも生産速度が確実に早くなると考えられています。様々なワクチンの製造方法が試みられている昨今、臨床試験の結果を踏まえて適切な結論を出すためには、相応の治験期間が必要となることに違いはありません。そもそもワクチンとは、従来、体内に存在しなかったウィルスに結びつく異物を人為的に注入することを意味することから、緊急対応という大義名分があったとしても、十分な検証が不可欠です。慌ただしい開発の最中、ワクチンの安全性に関わるプロセスまで省略されてリリースされることのないよう願ってやみません。ワクチン接種を拒む日本社会?WHO(世界保健機構)の専門家によると、集団免疫を効果的に実現するためには、国民のワクチン接種率が65? 70%以上になることが必要とされています。米政権は2020年12月に始まるワクチン接種により、半年前後で新型コロナの集団免疫を獲得できると期待しています。しかしながら様々な世論調査の結果を見る限り、ワクチン接種を拒む人たちはアメリカにも多く存在し、新型コロナのワクチン接種が普及するには、もっと時間がかかるのではないかと言われています。10月に仏イプソス社によって行なわれた調査では、ワクチンが利用可能になったら接種する、と答えた米国人は64%にとどまり、4割近くの回答者は接種しないと答えたのです。その理由として、臨床試験の進行が早すぎる、そして副作用が心配、という2つが挙げられていました。その後、11月に米国で行われたギャラップ調査では、例えワクチン接種が無料であったとしても接種を希望する人が58%にしか達せず、やはり4 0%以上の回答者が接種は受けないと答えたのです。つまり、米国人のおよそ4割は、ワクチン接種に対して拒絶反応をしているのです。その数字以上に、日本ではワクチン接種に対する強い抵抗感があります。たとえ2021年の春頃に新型コロナのワクチンが国から認可されたとしても、果たして誰がそのワクチン接種を受けるのでしょうか。2020年12月9日、日本トレンドリサーチによる1000人を対象としたアンケートの結果発表では、すぐに新型コロナのワクチン接種を希望すると答えた人は、全体の1割にとどまりました。また、「いずれ接種したい」と答えた方は6割ほどいましたが、その中から実際に接種を受ける方の割合も極めて低いと推測されます。それでも政府は2021年までに全国民がワクチンの接種を受けられるだけの数量を、海外製薬会社の大手、米国ファイザー社と英国アストラゼネカ社などから確保し、より多くの国民がワクチン接種を受けることができるようにと、広報を通じてアピールし続けています。日本ではワクチン接種は強要できないことから、2020年10月2日付の厚生労働省による発表においても、コロナワクチンの接種は原則、「努力義務とする」という方針が固められたにすぎません。つまり、受けたい人が受けるだけ、という曖昧な対応にならざるを得ないのが実情です。それ故、少しでも多くの国民が接種を希望できるように、「臨時接種の特例」に基づき、2020年度の予備費を充当したうえで、国民だけでなく、自治体に対しても財政負担を求めないとしたのです。しかしながら、なぜ、それほどまでにワクチンに対して懸念をもつ日本国民が多いのでしょうか。現実問題として、WHO(世界保健機関)などが名指しで日本の状態に警告をだすほど、日本は予防接種後進国と名付けられるまで、ワクチン嫌いの国家として名を馳せています。その背景には、予防接種は安全ではないかもしれない、という不安を払拭できない過去の歴史が積み重なっていると考えられます。これまでの歴史を振り返ると、世界中に広まった様々な疫病に対して用いられたワクチンの中には、想定外の被害が生じたケースが少なくありません。その最たる事例がジフテリアです。戦前まで世界中で流行していたジフテリアは恐ろしい病気であり、一旦感染すると、致死率も1割と高く、また、生存しても脳や筋肉に麻痺が生じて後遺症となる可能性が高いことが懸念されていました。そこで戦後、日本を一時的に統治したGHQ(連合国軍総司令部)は日本政府に対して予防接種の実施を指示し、1948年には予防接種法が施行されて、国民の接種が義務付けられたのです。しかしながら、それが悲劇のはじまりでした。当初、乳幼児全員に2度の予防接種が行われることになりましたが、その結果、3か月という短期間の間に京都府と島根県だけでも84名の乳幼児が死亡するという最悪の事態に陥ったのです。また、後遺症のために生涯つらい思いを強いられる人が後を絶ちませんでした。その後も様々なワクチンの後遺症による健康被害にニュースが続き、最近では韓国において2020年10月、インフルエンザのワクチン接種により、30人以上の方が接種直後に死亡した事例が報告されています。高齢者だけでなく、中には17歳の高校生も存在し、その原因は未だに解明できていません。これらのワクチン被害を背景に、日本では強制をすることなく、ワクチンの接種はあくまで任意で行うというのが原則となったのです。つまり日本では予防接種は受けなくても問題視されることはあまりなく、それぞれが安全性や副作用、病気にかかる確率などの情報を得ながら、社会情勢や自分の体調、面倒さ、コストなどを踏まえて最終判断をするわけです。その結果、日本の接種率はなかなか向上しないまま今日に至っているのが実情です。法律によって強制することなく、本人の判断で予防接種を受けるかどうかを決めるわけですから、わざわざ接種などしなくてもよいのでは、と多くの国民が考えても不思議ではありません。従来からインフルエンザのワクチンなどは、接種率が例年5割前後ともいわれているほど、日本国内での接種率は低いままです。また、つい最近話題になった国内における、はしかの流行においても、いかに、はしかの予防接種をいまだに受けてない成人が多いかをあらわにした実例と言えるでしょう。厚生労働省のデータによると、はしかの予防接種においては、ここ最近の第1期接種率は95%前後を保ってはいるものの、第2期、第3期になると、接種率が落ちています。それだけ日本では、予防接種の必要性に対する認識が薄いのと、その安全性にも多少なりと疑問視する風潮があることの証だといえます。また、幼児のMRワクチン1期、接種率も従来から8割弱とさほど高くなく、特に新型コロナウィルスの影響下においては接種率が5割前後まで激減していることが問題視されています。いずれにしても、安全性に対する疑問の声が日本では根強いことが、ワクチン接種を嫌う一番の理由です。予防接種を推進する向きからすると、その必要性と安全性について実証されていることは明らかであり、これまでの誤解を払拭しつつ、全国民に対して予防接種をするべきと訴えていますが、現実問題として予防接種の安全性については疑問視する声が絶えないのです。真冬の時期を迎え、新型コロナとインフルエンザの同時流行を警戒するだけに、不安がつのります。ワクチン接種は安全か?ワクチンの接種には絶対に安全、というものはありません。予防接種を受けることにより少なからずとも体質に微妙な変化を及ぼすことから、果たしてそれが人体にどのような影響を与えるかは、何十年という長い年月をかけないとわからないこともあるようです。例えば、予防接種を受けたあとに生じる自己免疫疾患についても、数年という短期のスパンでは十分に検証することは難しく、簡単に結論をだすことができません。さらには副作用が生じるおそれも100%は否定できず、臨床実験をくりかえしながら、副作用の可能性が極めて低いことがわかった時点で安全性が確認できたとことにするしかないようです。よって、極まれに副作用による障害が生じ、人の命を左右するような事件に発展することがあります。その微々たるリスクも考えたくはない、という人にとって、予防接種は縁のない存在になりがちです。厚生労働省の新型コロナウィルス感染症に対するワクチンに関するコメントには、「ワクチン接種には、副反応による健康被害が極めて稀ではあるものの、不可避的に発生します。」と記載されています。そして日本への供給を計画している海外のワクチンについては、「ワクチン接種後に、ワクチン接種と因果関係がないものも含めて、接種部位の痛みや、頭痛・倦怠感・筋肉痛等の有害事象がみられたことが報告されています。」と明記しているのです。つまり国として海外からワクチンを購入することは決めたものの、未だに安全性が確認されていないことを懸念する主旨の内容となっているのです。それでも日本国政府は来年前半までに、全国民が自己負担なくワクチンを接種できるだけの量を確保する体制を目指し、医療従事者や高齢者を優先して接種する機会を提供する方針を示しています。未だ安全性が確認されているわけでもなく、しかも通常4 ? 5年はかかると言われている臨床試験の壁を乗り越えて、1年少々で開発されたワクチンの供給を受入、既に政府は購入することを前提に英米製薬会社2社と基本合意しています。WHO(世界保健機関)によれば、既に世界各国で開発されている新型コロナウィルスのワクチンは170を超え、そのうち既に30あまりが臨床試験の段階に入っています。たとえ最新の遺伝子情報などを駆使した新技術を導入したとしても、長期にわたる様々な副作用や、免疫持続期間などを検証するのは数か月では無理があるでしょう。既に原因不明の副作用が報告され、臨床試験が中断するという事例が後を絶ちません。中国製のワクチンにおいては、急激な筋力の低下や麻痺を起こすギランバレー症候群に類似した疾患の事例が既に報告されており、臨床試験が一時中断したというニュースも流れています。ワクチンの安全性を確認するには時間を要します。特に日本国内における独自の臨床試験が不可欠であることから、過去生じたようなワクチン禍の被害を回避するためにも、しっかりと時間をかけて検証していただきたいものです。ワクチン接種は受けるべきか?国立国際医療研究センターによる新型コロナウィルスに-2-