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成田を自然にあふれる美しい街にしよう
誰でもエンジョイできる自然環境の整備が急務!!

あなたは今何歳?

今、おいくつですか、と聞かれたら、たいていは自分の年を考えて、ある人は20歳、ある人は35歳、それぞれ自分の年を言うことと思います。でもここで言いたいのは本当に生きていた年です。死んでいた時間を除外した、生きていた時間がどのくらいあったか、という人生観につながる究極の質問なのです。多忙な現代社会の中で私たちは皆、心の潤い、平安、ハッピーな願いをもとめているにも関わらず、現実はとかく厳しいものです。「あー、今日も面倒な一日だなあ」といやいやながら通勤電車で居眠りして過ごす空しい一時間、トラブルに巻き込まれて激怒し自分を見失ってしまった一日、欲求不満がつのって自棄酒を飲み二日酔いで起きたら何も覚えていない夜の時間など、魂が死んでしまっている時間こそ、生きている時間として考えたくないのです。

幼い頃山登りをした時のことを考えてみましょう。必死に汗をかきながら登りつめた頂上から下界を見渡すと、そこに広がるパノラマの大自然!その時の感動、「スッゴー」「わー、きれい!」と心から叫んだあの純粋な思いを憶えていますか?その「生きている」という実感を持った時間を足していくと殆どの人はまだ幼児レベルを超えていないことがわかっています。大自然に触れるとき、人の魂は感動を覚え、本当に今、自分は生きているんだ、という喜びを味わうことができます。いつの時代でも人間は大自然、大宇宙の恵みを見つめ、触れ、味わい、楽しむことを必要とし、それが許されているのです。だからこそ、我が街成田においても自然を大切にし、それを十分楽しむことができる環境を保護し、必要に応じて整備し、維持することが大切なのではないでしょうか?

国際都市に自然が必要?

国際都市となるために大事なのは、国際都市の形成は市街化を中心とした近代社会の構築が全てではないということです。成田が目指す本当の意味で国際都市になるためには、美しい自然環境が不可欠です。すなわち成田は市街化に伴う近代的発展と共に、人間と自然のインターフェース、そして動植物も含めた自然環境の保護という人類に不可欠な要素のバランスを舵取りしながら、調和のとれた街造りを実現してこそ、初めてまともな国際都市として発展していくことができるのです。自然の動植物、水源なくして国際都市は語れないということですね。そしてこれらの自然環境を保護することにより各種動植物の生命体が自然の摂理の中でバランスのとれた相互関係を助長し、人間がより快適なライフスタイルを営むことができるように助けてくれるのです。

成田の自然

成田には溢れるばかりの自然が満ちています。田んぼが成る、という字のごとく、成田の基本の姿は田畑を中心とした田園風景の美しさに尽きると思います。そして緑が一杯の丘陵が市の周辺地区一帯を覆っているだけでなく、隣接地には印旛沼の大自然があり、また房総風土記の丘と呼ばれる県立公園も同様に自然の醍醐味を私達に教えてくれます。これらの自然環境はただ単に見て楽しむだけでなく、積極的に環境を保護していきながら、誰もがもっと自然に親しむことができるように周辺環境を整え、自然と人間の接点をふんだんに提供していくための様々な工夫と努力が必要なのです。

成田の自然が汚されている!

でも数多くの現実的な問題が私たちの夢と希望を破壊すべく待ち構えています。一例として印旛沼を見てみましょう。これほどの巨大な沼は本来美しくなければなりません。空気の綺麗な晴天の日、成田市からは印旛沼の向こうに富士山も大きく見えるのです!そしてこのいつまでも美しくあってほしい印旛沼に無数の自然の魚が住みつき、もっと多くの人が気軽に釣りを楽しんだり、また暑い夏の日などは水に飛び込んで泳いだりボートに乗ったりして自然を満喫することができれば最高ですね。

ところがどうでしょう?何年たっても印旛沼は変わることなく、それどころか日増しに汚くなっていく感が否めません。問題は山積みであり、それらを簡単に5つのポイントにまとめてみました。

  1. 汚いという先入観からかあまり一般庶民が立ち寄らず、その存在価値さえも無視されやすいため、どうしても環境改善のプロジェクトが遅れがちになる
  2. 周辺地区の下水道整備が遅れているために、汚水が印旛沼に流れ込むことを防ぐことができない
  3. 印旛沼改良区の働きにおいて水質の基準設定があるにもかかわらず、実際問題として水の浄化という課題に関しての具体的な解決案が何ら実践されない
  4. 印旛沼が栄町や印旛村など複数の市町村にまたがっているために行政の施行がややこしい
  5. 形ばかりご大層で、印旛沼の浄化と自然環境保護の使命感に燃える本当の人材や、組織が見当らない

その結果、今日でも印旛沼の水は日本でも最も汚い沼の一つと言われています。

印旛沼に限らず、成田の自然水源である無数の沼、池、川の大半は浄化槽や汚水の垂れ流し用ピット状態であり、人間が水浴びをするなど、まともに自然を楽しめるような環境を提供していません。水源だけではありません。森林、小山、丘陵も同様に野放し状態になっており、ただの雑木林にしか見えないところが殆どです。これらの大半は個人が所有しており、複数の所有者がまたがっていることも珍しくなく、それ故持ち主の意向により放置されやすくなってしまいがちなのです。水と野山の自然がいっぱいあるように見えてそれを楽しむことがあまり許されない街、それが成田の実態に近いのではないでしょうか?緑の美しい街、自然がきちんと保護されている街、水が綺麗で美味しい街、自然とのふれあいを提供できる街こそ、真の国際都市成田の在り方です。

自然環境の保護、クリーンアップをするために

1. ワールドクラスの目標を定め、それに準じたマスタープランを作成する。

成田の目標は単に自然を保護するだけでなく、「水遊びをしたい」と思えるようなきれいな水が溢れる池や沼などの自然環境を整備することにあります。またそれと関連して上水道のクオリティーを向上してより清い、より美味しい水を庶民に提供することを視野に入れた水回りの環境を整備するために予算を組み、管理をしっかりとして無駄なく本当に大切なところに税金を使っていくことが大切です。

欧米諸国の湖、沼は綺麗なところが多いですね。これは下水道に対する考え方がしっかりしているということに尽きます。下水道を成田市内の隅々まで普及することはコスト高になるし、予算もないし、その負担を住民に強いると反対意見がうるさいから、とりあえず先送りしようといった甘い考えは国際社会では一切通用しません。急務であることは何が何でも実践する、という先進諸外国の姿勢から学び、ガイドラインをしっかり決めて、下水道の普及率を高めることが今や不可欠です。

NCJのオフィスは国道51号沿いにあり、成田市役所は歩いていけるほど駅からも目と鼻の先に位置するのですが、ここですらまだ浄化槽を使っています。これが成田市の現状です。何年もお願いしてやっと昨年末から下水道の工事が始まり、今年3月には完成する予定だと聞いています。嬉しい限りです。しかしJR京成成田駅近隣の国道沿いの商業物件においても平成2002年の段階で下水道を完備してない現実を見ると、血みどろの努力をしなければ下水道の普及は無理です。その為にはまず、下水道普及率100%を目指したマスタープランを早急に作りましょう。

2. マスタープランに則った条例を制定し、海外の事例から良く学ぶ。

次に新規の建築物に関しては、欧米諸国のように下水道を完備するプランがなくては建築許可が下りないように数年内に条例を整備するべきです。無論、市内における新規の道路建築には上下水道だけでなく電柱の設置を排除するために地中ケーブルを最初から埋設することなども国際都市としては常識的なことと心得るべきでしょう。また緑化率を大幅にアップするために新築の建造物に対しては欧米諸国並みの緑化条件を設けて、周辺のランドスケープ(植栽)に関する厳しい指導をしていくことも必要です。例えば家を建てる際でも緑化レベルに合致する植栽プランを図面に盛り込まないと建築許可が下りないようにするのです。適切な緑化レベルと美しいランドスケープのデザインは国際都市に不可欠です。

またクリーンウォーター条例を設けて、より美味しく、安全な水を提供できるように工夫するべきです。成田市の水道局ほど優雅な建物でリッチに仕事をしている役所は少ないでしょう。それを良しとするならば、それに見合う真剣勝負の仕事が必要です。ただ単に上下水道の普及率を高めるだけでなく、どうしたらもっと美味しい水を提供することができるかを先進諸国の事例を研究し、学びとるべきです。はっきり言って、成田の水はまずいです。水道局も改革を必要としています。

3. 痛みを伴う改革を実践するガッツある行政に生まれ変わろう

これらは当然のことながら膨大な先行費用がかかるため、当初は建築業界からは敬遠され、余分な費用は消費者に上積みされるために住宅の値段も上がり、購入者も減ってしまうことが考えられます。でもいつかはやらなければならないことをこれ以上先送りにするべきではないのです。

改革には痛みが伴います。だからこそ行政は民間の出血を最小限に食い止めるために積極的な支援を提供しなければならず、役人も自ら血を流す覚悟が必要となってきます。すなわち、役所自体が効率化を図り、オペレーティング・コストを下げて予算を再編成し、時には自らの収入カット(いわゆる血を流す)もいとわず必要不可欠な事業に血税をより多く注いでいかなければ、夢は実現しません。それ故、優れたマスタープランの必要性を感じずにはいられません。

自然環境に関する問題は、いくら先送りしてもいつかは不良債権のごとく破綻してしまうのが常です。逆に早く処理すればそれだけ早く立ち上がることができるのです。だからこそ今、私達の世代が動いて自然環境を整備するためにより一層の努力をしなければならないのです。国際都市に生まれ変わるためにはそれなりの覚悟が必要というわけですね。その代償をいつの時代の人が支払って血を流すか、本音を言えばそれだけが議論の焦点となります。後世のために今がんばろう、という人間が真の国際都市成田には不可欠です。

(文・中島尚彦)

© 日本シティジャーナル編集部