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テニスには悔いが一杯!

勝負ごとには後悔がつきものです。その悔しさをバネにしてもっと高いレベルを目指すのです。30年程前、大森選手権で私のダブルスペアーは第1シードに入りました。当時怪力マンのあだ名を持つ巨漢の馬場君と一緒に準決勝まで一気に駆け上がり、次の相手も実力的には自分たちの方が明らかに上。

でも油断は禁物、ということで最初から着々とポイントを重ねていきました。馬場君の強力なサービスエースや私のスマッシュとポーチ(飛び出してボレーでポイントをとること)も面白いようにビシバシと決まり、試合の流れはまさに圧勝ムード。そして遂にマッチポイント。さあ、相手のサービスを私がリターンしてベースラインに深く打ち込みました。相手は私たちペアーの強打を恐れて守りの体制に入っています。次にきたベースライン付近からの相手ボールは案の定へなちょこ球で、ネットで構えている私は鋭いスマッシュをクロスへ打ち込みました。すると相手は必死に追いまくり、ラケットに引っ掛けて更に弱々しい球を打ち返してきました。さあ、怪力B君の出番です。「よし!」と大声で叫んだ彼はラケットを頭の上に振りかざして強力スマッシュ!ところが、思いっきり引っぱたいたボールはフェンスを越えて遠くまで飛んでいってしまったのです!「どんまい、どんまい」と叫びつつもそこからずるずると試合の流れが変わり始め、結局フルセットの末、負けてしまいました。今でもその悔しい思いを忘れることはできません。その思いを胸にしまいつつ一生懸命練習に励んだ若きテニス青春が懐かしく思えるこの頃です。

(文:中島 尚彦)

© 日本シティジャーナル編集部