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若返りのために、まず目標設定

-「老化時計」にストップ -その前にやること

今、あちこちのメディアで抗加齢医学が話題になっています。しかしそのほとんどは、草創期特有の商業主義に由来する「奇跡の治療」であることは否めません。直接的、短期的に結果の出る高額のホルモン・薬物注入療法こそが抗加齢医学だと言わんばかりです。確かにホルモン療法は重要なテクニックの一つですが、あくまで最終的な手段です。あなたには、「その前にやること」がたくさんあるのです。

これから、あなたは抗加齢医学の理論に基づいて、あなたの中で刻々と時を刻みつづけている「老化時計」にストップをかけるために、さまざまなプログラムを実行してゆきます。この抗加齢プログラムをスタートするにあたり、皆様にお願いしたいことは、「モティベーションをしっかり維持してくださいね」ということに尽きます。食事療法も運動療法も、楽々というわけにはいきません。しかし、これからの人生を若々しく充実したものにしたいという大きな目的を達成するためには、そのための「目標」が必要です。

-目標設定-目指せ、由美かおる

目標①:私はこの抗加齢プログラムによって、異性を性的に魅了できるようになる。

奇跡の50歳。ここで女優の「由美かおる」さんをとりあげましょう。今年の夏(8月30-31日)に札幌で開催された日本人間ドック学会にて特別講演をされた由美かおるさんにお会いしましたが、医師の目からみても、彼女は素晴らしい精神と肉体の持ち主です。それは、生まれながらの資質と、バレーという過酷な全身運動をマスターし、今日まで続けてきたという鍛錬の結果であることは間違いないのですが、それだけではありません。

由美さんはホルモン補充療法を受けていません。つまり、由美さんのあの理想的な状態は、今あなたが始めようとしている「運動療法」「食事療法」「精神療法」によって維持されているというわけです。

由美さんというと、水戸黄門の「行水シーン」がおなじみです。下世話なお話で恐縮ですが、これにはちゃんと意味があります。それは、性的興味とセックスアピールは老化によってまっさきに失われるファクターだからです。さあここで、一つの目標が立ちました。

目標②:私はこの抗加齢プログラムによって、筋肉量を50パーセント増やす。

1999年にマッカートニー博士たちは、60歳から90歳の人に10ヶ月間連続でウェイトトレーニングのプログラムをやってもらい、その効果を調べました。そして60歳をこえてから筋力トレーニングを始めても、決して遅すぎることはないということが明らかになったのです。

人間の代謝率は、体に筋肉組織が増えると休息している時間中も運動プログラムを開始した以前の状態よりも高くなります。これは、筋肉量が増すことによって、必要カロリーが多くなるからです。仮に脂肪のない筋肉を2キログラム増やせば、運動をまったくしない日でも以前よりも1日あたり120から200カロリー以上、多く消費できるようになるのです(NASA、1996年)。

目標③:私はこの抗加齢プログラムによって、自らを「春モード」に切りかえる。

人間には、長い間、自然と向き合って暮らしてきた「季節への対応」というものがあります。

春、気候が穏やかで餌が豊富になるこの時期は、子育の絶好の季節です。人間も、古代にはこの時期の出産・育児が、一般的だったといわれています。

暑い夏、人間も動物も体の脂肪を落としたままこの過酷な時期を乗り切ります。そして秋になると、人間や動物は体内の仕組み変化させます。それは、同じエネルギーを摂取しても、脂肪として蓄えられる割合が増えるという変化です。ここでこの状態を「秋モード」と呼び、脂肪がつきにくい状態を「春モード」と呼びましょう。

同じ物を食べても太りやすい人と太りにくい人がいます。それが、「秋モード」と「春モード」の違いなのです。

人間は、食事をして血糖値が上がるとインスリンが分泌されます。インスリンとは膵臓で作られる、血糖値を下げるためのホルモンです。そして、私たちの体は、血糖値が下がると空腹感を感じる仕組みになっています。

「秋モード」の人の最大の問題は、筋肉組織内でインスリン作用が発揮されず、脂肪組織内においてより高いインスリン作用が起きることなのです。つまり、血糖値が下がる速度が人一倍早いのです。

「春モード」から「秋モード」に変化するメカニズムについては、女性でも、男性でも、ホルモンバランスの変化がこれに大きく関わっていることがわかっています。これらの人たちは、「運動療法」「食事療法」そして「精神療法」を主体とした抗加齢プログラムを一般の人より長期間おこない、ホルモン分泌を促すことが重要です。

抗加齢医学は、高齢者のためだけの医学ではなく、40歳をすぎて体型が変わってきたらすぐに実践を検討するべき身近な医療なのです。

さあ、抗加齢プログラムに関するあなたの「目標達成」が終わりました。あとは、行動あるのみ。計画的に抗加齢プログラムをスタートしましょう。

米井 嘉一(よねい よしかず)

米井 嘉一(よねい よしかず)

1958年東京生まれ。慶應義塾大学医学部卒。現在、日本鋼管病院内科・人間ドック脳ドック室長、(株)サウンドハウス産業医。
米井抗加齢研究所所長(http://www.yonei-labo.com/) Anti-Aging Medicine(抗加齢医学)の伝道師としてテレビ、ラジオ、雑誌等で活動中
日本抗加齢医学会HP

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