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「しごかれて男たちは強くなる」

京成線沿線にある我が家の地下室に、このほどホームシアターをオープンしました。私が館長の廣井大輔です。当館では、館長のまったくの気まぐれで収集した約400本の洋・邦画ビデオ/DVDの中から、館長のそのときの気分で選んだ作品を好きなときに上映しています。まさに「気まぐれ映画館」です。そんな館長の気まぐれで、集めた作品の中からあれこれ書いてみたいと思い、「シネマ館便り」なるものを始めてみました。果たして続きが出るかわかりませんが、おつきあいください。

※あくまで個人として楽しんでいるホームシアターです。営業はしていません。

ズボンのベルト辺りに、どうも余分なものが付いてきたようです。念のために計ってみると、この年末年始の間に2Kgほど蓄えてしまったようです。というわけで、すっかりご無沙汰してしまったスポーツ・クラブ通いを再開しようかなと考えています。といっても、自転車漕ぎを30分、ランニング・マシンを10分、あと軽いマシン・ジムを40分ほど、といういたって軽い運動ですので、たいした効果は望めませんが。自分には甘い性格の館長ですから、結局「運動した」という自己満足を味わうためにスポーツ・クラブへ行っていたようなものです。

こんな館長には、あの体育会系の強制的な「しごき」の方が効果的なのかもしれません。実をいうと、館長はれっきとした体育会出身者。非科学的な根性論で、毎日しごかれたものでした。さすがに、この年になってあのしごきはとても堪えられませんが、その効果のほどは実証済みというところです。

そこで、映画(特に戦争アクション)の中で体育会のように、いやそれ以上に厳しくしごかれる男達を思い浮かべて気分的にハードになりながら、ソフトな運動で汗を流すことになりそうです。

今回のご紹介映画

「特攻大戦略」('67)

時は第二次世界大戦。連合軍によるノルマンディー上陸作戦前夜に、ドイツ軍将官が集まる城を急襲するという作戦に集められたのが、何と軍刑務所に収容された12名の犯罪者たち。世の中の権威すべてに反抗的な彼らを鍛えるためには、理屈よりも力、とばかりに実戦さながらのハードな訓練が繰り返される。

ジョン・カサベテス、チャールズ・ブロンソン、テリー・サバラスといったクセのある面々が、リー・マービン扮する指揮官にしごかれます。監督は男くさい映画に定評のあるロバート・アルドリッチ。

「コマンド戦略」('68)

これも同じく第二次大戦のお話。ヨーロッパ戦線での兵力増強のために、米軍とスコットランド系カナダ軍の混成旅団を結成。ただし、集められた米軍兵は札付きの不良兵ばかり。それに対しカナダ兵は誇り高き精鋭部隊。この水と油の2つのグループが反目しあうことで、互いに成果を挙げさせようというのが指揮官の狙い。結局、訓練を通じて、反目から連帯へと変わっていくところが、アメリカ映画の定石。後にドイツ軍より「悪魔の旅団」と呼ばれることになるコマンド部隊の物語です。旅団司令官にウィリアム・ホールデン、カナダ軍指揮官にクリフ・ロバートソン、監督はジョン・フォードの助監督を長く務めたアンドリュー・V・マクラグレン。

「ワイルド・ギース」('78)

アフリカの某軍事国内に埋まる銅の採掘権を狙うある巨大企業が、軍事政権に囚われている民主的活動家の救出を傭兵に依頼。激しい訓練を受けた50人の傭兵たちは、収容所を急襲、無事活動家救出に成功するが、企業側の裏切りのため、敵地に孤立してしまう。傭兵部隊の指揮官にリチャード・バートン。他にリチャード・ハリス、ロジャー・ムーアなど。監督は前出のアンドリュー・V・マクラグレン。

「地獄の七人」('83)

ベトナム戦争終結後10年。戦闘中行方不明(MIA)となった息子がいまもベトナム軍の捕虜となっている証拠をつかんだ退役陸軍大佐が、自らの力で救出にむかう。そして集められたのが、かつて息子と同じ部隊にいた帰還兵たち。忘れてしまいたい戦争の記憶を無理やり蘇らせ、息子の、そしてかつての仲間の救出のために、私的な戦いに乗り出す大佐に、ジーン・ハックマン。監督はテッド・コチェフ。

どれも戦争アクションの醍醐味を味わえる4作品ですが、集められる男たちの個性で選ぶなら「特攻大戦略」、指揮官の個性なら「地獄の七人」、戦闘場面のスペクタクル性なら「コマンド戦略」、戦う男の哀歓なら「ワイルド・ギース」というところですね。お好みのポイントにあわせてご覧にいれますよ。

(文・廣井大輔)

© 日本シティジャーナル編集部