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Hawaiiの楽器~イプ~

ハワイには多くの伝統楽器がありますが、その昔、人々にとってフラやチャント(詠唱)に用いられる道具は楽器というよりも神具に近いものでした。現在フラでよく使われている代表的な楽器をいくつかご紹介しましょう。

プイリ(Pu'ili)

竹の先に細長い切れ目を入れたスティック状の打楽器。2本叩き合わせて音を出しますが、時にはパートナーとお互いのプイリを叩き合ったり、1本で踊り手の腕や肩、腰などに打ちつけて音を出したり、持ち手側を床に置いて「コン」と音を出したりします。

ウリウリ('Uli'uli)

マラカスに似ていて、胴の部分にはココナッツやラアミアという木の実の中をくり抜き、中に植物の種や木の実、または小さな石を入れ、持ち手の上にはいろいろな色をつけて染めた鳥の羽根が飾りつけられており、踊り手は片手や両手に持ち振って音を出します。

イプ(Ipu)

瓢箪(ヒョウタン)で出来た打楽器で、片手でくびれた部分を握り、もう片方の手で側面を親指の付け根の部分で打つ音と、指のはらで叩く音の2種類の音を出します。大小二つのイプの口を接合したものはイプヘケ(Ipu heke)と呼ばれ、主に古典フラのチャンター(詠唱を唱える人)が使います。

数年前オアフ島のクムフラであるホクラニ・デレゴ氏のワークショップでイプ作りを体験しました。既に乾燥させてある瓢箪は粉が吹いたようで決して綺麗ではありません。それを海に持って行き、半身海につかりながら海水と砂を混ぜてゴシゴシと洗います。ハワイの眩しい日差しの中、これが結構な重労働なのです。もうそろそろ良いのではと何度となく見せに行きますが中々お許しが出ません。汗だく砂まみれになり、根性でようやく磨き終わった後はへたの部分を切って、中を綺麗にしてゆきます。種や実をくり抜き、奥の方は専用の道具(大きな耳かきの形をしたノミのような物)で削り出します。既に幾つかイプを持っていましたが、イプは大きさや厚みなどによってかなり音が異なり、厚みが薄い方が響いて良い音が出る為、悪戦苦闘しながらここでもただひたすらゴリゴリ削り出してゆきます。そしてまたお許しを頂いた後、オイルを塗ってやっと完成です。完成したイプに最後はクムがお祈りをしてマナ(万物に宿る超自然的なパワー)を入れて下さいました。イプの汚れを落として底面に浮かび上がった自然紋様は、持つ人の祖先が現れているという事、またイプの中に物を入れたり蓋をしてはいけない、そして丁寧に扱わなければいけないということをお話して下さいました。

以前ステージ本番中、踊っている時に「ミシッ」っと嫌な音がしてイプが割れてしまった事があり、内心非常に焦りましたが踊りを止める訳にもいかず、なんとかその場を切り抜けた苦い思い出があります。友人のハワイアンのダンサーに、イプには女性の名前をつけるという話を聞いたことがあります。なぜ女性の名前なのかは分かりませんが、それ程大切に扱わなければいけないと言うことなのでしょう。海と風と太陽をいっぱいに浴びてほんの少しですが、イプ作りはハワイの文化を体中で感じる事が出来た貴重な体験でした。

ナ・メア・ハワイ Akemiのちょこっとコーナー

ハワイの楽器やセンスの良い雑貨類、書籍、CD等メイド・イン・ハワイにこだわった専門店。超高価で貴重なニイハウシェル・レイや非売品のコアウッド製品の展示など、ハワイに行ったら必ず立ち寄るお店のひとつです。

ネイティブ・ブックス/ナ・メア・ハワイ
(1050 Ala Moana Blvd,Suite 1000 Honolulu, Hawaii 96814)

Akemi

Akemi

現在、東京のHalau(Hula の教室) 所属。
レストラン・ポセイドン、Hawaiian Night出演中。

© 日本シティジャーナル編集部