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ギター『スライド奏法』のルーツ

ディドリー・ボウ

エレキ、アコギ問わずギターならではの演奏法にスライド奏法があります。これはフレットを指で押さえる代わりに金属、ガラス等を弦の上で滑らせる奏法です。最初はナイフやスプーン等の日用品が使われましたが、『持つ』事で本来の指の動きが制限されるため登場したのがボトルネック奏法です。これは薬指や小指に鉄やガラスの筒をはめ滑らせるもので、お酒等のボトルをカットして使った為この名が付きました。スライド奏法はブルースの他カントリー、ハワイアンなどでも耳にしますがこちらはボトルネックではなくスライドバーという専用の金属バーを使うことが多いです。鍵盤楽器では出せない連続的な音の変化が大きな特徴です。さてこのルーツには諸説紛々ありますが、ここで、面白い1本弦のギター、『ディドリー・ボウ』をご紹介します。ブルースマンのインタビューでは、「子供の頃壁や電柱に釘を打って針金を張り音を鳴らして遊んだ」とか「煙草やウィスキーの木箱に紐や針金を張って音を出した」等と語られています。『ディドゥリー・ボウ』とはこの様な1本弦の楽器の総称です。ブルース&ロックンロールの大スター、ボー・ディドリーの名前の由来でもあります。元々は指で押さえて弾いていたものを、人によっては前述の日用品を使ってプレイした事がスライド奏法のルーツとなり、現在の奏法へと進化したと思われます。

アメリカ南部の農場で働く人々にとってギターが簡単には買えない時代背景を考えると『ディドリー・ボウ』は特に子供達が手軽に作れる楽器の1つとして楽しまれました。20世紀初頭のアメリカ南部では現在に通じる日用品を利用した楽器が手作りで誕生しました。洗濯板をスプーン等でこすって音を出す『ウォッシュボード』、タライにモップの柄をたて紐を張ってベースにした『ウォッシュタブベース』等々です。今では耳にする機会も少なくなりましたが、アメリカ現代音楽を元にした音楽が市場を占める昨今、こうした楽器のルーツを見直すのもまた楽しいものであります。

(ギタリスト 加茂尚広)

NEGGY加茂

NEGGY加茂

1971年生まれ 佐賀県唐津市出身。
1990年上京。東京を目指すも勢い余って通過してしまい千葉県成田市にて音楽活動開始。以後仕事の傍らミュージシャンとして年間40本以上という驚異的な数のLIVEをこなしている。いわゆる普通のLIVEのみならず、キャンプコンサートなどイベント出演も多数。現在は「KING JOE」というBANDで全国規模で活動中!!その爆笑&失笑ステージは見ごたえあります。「カモネギ」の愛称で親しまれております。

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