日本シティジャーナルロゴ

音の魅力を言葉で伝えることができない !

先日新宿でライブをやりました。対バンは福岡から来た打楽器奏者の幻一郎。大きなフレームドラムをはじめ、様々なパーカッション、そしてバケツやのこぎり、果ては植木鉢まで楽器にして演奏し歌う、日本でも唯一無二のミュージシャンです。とにかくお客様全員が抱腹絶倒! 涙流して笑い転げていました。

心に残るライブだったので友人や同僚にその面白さを話そうとすると、はて?どう説明していいのか言葉が見つからない。打楽器が上手いのか?曲がいいのか?歌が上手いのか?どれもそうではあるが本当の魅力を伝えることができない。本当に凄いものというのは言葉にできないものだな、と改めて思いました。幻一郎さんのCDを買った人によると「LIVEの方が面白かった」という。やはり鼓動が、音が空気を伝わって耳を、心を震わすものにはかないません。

感動を言葉にして説明できなかった経験としてはチェチェン難民の子供たちが踊ってくれたレズキンカが有ります。去年アゼルバイジャンを訪ねたときに見たのですが、躍動感、メロディ、素朴だけど美しい踊り。これはコーカサスの地で風の音を聞かなければ伝わらないのではないかと思います。

俳優のブルース・リーの言葉で「考えるな。感じろ」というものがあります。人間は音楽にしろ絵にしろ、自分が持っている情報と照らし合わせて、処理する。つまり「考えて」しまう。そのため常識の範疇外の物に合うと面食らってどう評価していいかわからなくなる。しかしそんな既成概念を捨て、感じるままに聞くことにより、感受性豊かに音楽を受け止めることができます。ジミ・ヘンドリックスもゴッホも高橋竹山も山下清も常識にとらわれない、いい意味での非常識さが言葉をも発せないほどの感動を生むのでしょう。

幻一郎の言葉にできない面白さ、博多アンダーグランドミュージシャンの底力を見ました。自分も言葉で説明されているようではまだまだですね。

(ギタリスト 加茂尚広)

NEGGY加茂

NEGGY加茂

1971年生まれ 佐賀県唐津市出身。
1990年上京。東京を目指すも勢い余って通過してしまい千葉県成田市にて音楽活動開始。以後仕事の傍らミュージシャンとして年間40本以上という驚異的な数のLIVEをこなしている。いわゆる普通のLIVEのみならず、キャンプコンサートなどイベント出演も多数。現在は「KING JOE」というBANDで全国規模で活動中!!その爆笑&失笑ステージは見ごたえあります。「カモネギ」の愛称で親しまれております。

© 日本シティジャーナル編集部