男のロマンは女の敵 !

最近演奏活動がとんとご無沙汰で、あまり楽器を弾く機会もなく、悶々とすごしていますが、それとなしにオークションサイトはチェックしております。

人間、“買いたい ! 欲しい ! ! ”という物欲は際限が無いものですが、「今本当に必要 ? 」と自問自答すればある程度我慢できるってもんです。しかし私の場合それがギター、それも1960年代のビンテージ・エピフォンになると話は別、「これは僕が手に入れて、アメリカ現代音楽の歴史を刻んだ貴重な遺産を保護するんだ ! 」などと、様々な理由をこじつけては妻を説得し、これまでいくつも楽器を買ってきました。

最近は子供も大きくなり「そんなに無駄遣いはできないからなぁ」と、海外のオークションサイトを眺めているだけのことが多かったのですが、そんなときすごい骨董品を見つけてしまいました。国内のオークションではまずお目にかかれない1965年製「EPIPHONEGALAXIE」というギターアンプです。

最近のギターアンプは小さくても30Wは当たり前。100Wのアンプでも30,000円を切るご時世なのに、こいつは幅が55cmもあるのに15Wそこそこ。しかも音が出ないためジャンク扱いでした。「最悪インテリアでもいいや」と得意の事後承諾 ? で妻を説得し、なんとか入手することができました。

「これが男のロマンだ ! ! 」とはしゃぐ僕を尻目に「こんなカビ臭い箱の何がいいのかしら ? 」と怪訝そうな妻。幸い回路の一部と真空管を交換すれば修理できそうなので、今から仕上がりが楽しみです。 男はいつまでもロマンを追い求めているのです。そしてその「男のロマン」とやらは、女性とは非常に相性が悪い存在のようです。

（ギタリスト　加茂尚広）