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日本列島大改造の時が正に今、やってきた!
国際的競争力を取り戻す鍵は大胆な最先端インフラの整備

昨今の国内外における込み入った社会情勢を眺めますと、時折「昔に戻り、素朴な農耕社会に生きた方が良かったのかな」と考え込んでしまうことがあります。のどかな農村で落ち着いた農業を営み、自給自足の生活を前提として自然に接しながら心豊かなライフスタイルを営むことの大切さ!水は井戸水、便所は汲み取り、情報は乏しく、旅行をするには大変不便な田舎町、ケーブルテレビもインターネットも簡単には見られない。一見、時流に逆行しているように見えても自然に囲まれながらゆとりある生活を満喫したい、近代化を前提とした社会インフラの整備等は程ほどにして環境を破壊しないように努めながら現状維持を大事にしたい、と、誰もがせわしい周囲の出来事から解放されて心の安堵を求めているように思えます。

しかし否応無しに世界のグローバル化が急速に進む中、日本の国債はムーディーズの格付けによるとチリやバハマより下に落ちてしまいました。これ程実態にそぐわない愚かな格付けが世界中を闊歩するほど、日本のイメージは傷ついているのです。海外では誰もが日本の経済力を疑うようになり、今日では日本よりも上海や香港の方がアジアの金融ハブとしての潜在的能力は遥かに上と考えられるようになってしまいました。そして国内経済の弱体化が尾を引くさなか、国内外の周辺環境にも問題は山積みです。東アジアの社会情勢はいつになっても不安定のままであり、時折ミサイルを飛ばしたがる朝鮮半島からも目を離すことができません。また将来難民が日本に押し寄せてくるという可能性も否定できません。国内を見れば自然環境は無謀な人間の手によって次々と汚染され続けています。本来なら世界でも有数の美しい海岸線を誇るべきはずの九十九里周辺はごみと雑草の山ですし、富士山をバックに美しく輝くべき印旛沼は汚水ピットそのものと化してしまいました。

現実問題として自分の財布に穴があき、子供が誘拐され、家の周辺環境は多くの無法者に荒らされ、助けてあげたくてもどうしようもできない無数のホームレスの人が小さい我が家に助けを求めて殺到しようとしていたら、悠長にくつろげるでしょうか?さあ、のんびりしている暇はありません。日本の将来を危惧するならば、そして失われつつある国際的競争力を取り戻したいと願うならば、やるべきことは明確です。経済の活性化を実現するために大胆な日本列島改造が不可欠なのです。

見せかけの国際都市 成田の現実は乏しい!

JR及び京成成田駅からおよそ1km、成田シティージャーナルの事務所がある、国道51号沿いのサウンドハウス・ビルは、やっと先月市による下水道工事が完了しました。この建物は自社ビルであるため、下水道が入り次第すぐに自前で工事の手配をすることが出来ました。道路の向かいに大型のライオンズマンションが建っているので本来ならばそこに通じる下水の本管に接続できるはずなのですが、施工業者と役人の離れ業でしょうか、マンションの下水管は51号沿いではなく、何とJRの線路下をくぐって日赤側に放出されていたため今まで接続が出来ませんでした。また成田駅方向100m先の本館は賃貸物件でもあるため、今日までずっと井戸水と浄化槽を使用しています。2階には託児所があり大勢の子供達が毎日長時間生活しているため、上下水道の完備がいつ実現できるのかと歯がゆい思いをしています。本来なら何らかのサポートが行政の方からあっても良いはずですが、かつて「上下水道に切り替えませんか」などと役所から電話一本受けたことはありません。国際都市の成田駅から歩いて12分の距離にある国道沿いの物件で、しかも豪勢な市役所のお膝元とも言える不動ヶ岡に今でも上下水道が普及していないことに憤慨する職員はいないのでしょうか?何とかしなければ!と危機感をもって一軒ごとを訪ね歩いて仕事に励む人はいないのでしょうか?

また印旛沼は未だに汚染されたまま日本でも最も汚い沼の一つとしてリストアップされていますが、その周辺地域を占める成田市内のJR下総松崎駅周辺も寂れたままとなっています。松崎街道沿いにはかなり多くの住宅が建ち上がっていますが、上下水道はおろか、下総松崎駅は無人駅で売店さえもありません。ここまで全てが放置されては市の発展は望めません。

成田の交通事情も日増しに悪化の一歩をたどっています。美郷台の交差点は今や大渋滞が当たり前。これも将来を見据えたマスタープラン無しに複合ショッピングセンターの建設を許可してしまうことが原因です。イオンショッピングセンター程の大型商業施設なら前面の空港街道は片側3車線、アプローチの道路は2車線が不可欠です。あの大渋滞でどれほど一般庶民が困っていることか。

光ファイバーの導入にも大変困ったことがありました。つい先月、社内のビルにやっと光ファイバーが入ったのですが、それまでのNTTとのやりとりは知識と経験に乏しくやる気のない職員との空しい対応の連続でした。日赤側から引っ張るか51号側から引っ張るか、話が二転三転して長く待たされた訳です。光ファイバーが無いと業務に支障をきたす企業が成田に存在するにもかかわらず市もNTTも誰も親身になって協力しない現実を体験させられました。

列島改造=インフラ構築

通信、交通網、及び上下水道等のインフラは、私達の日常生活に大きな影響を及ぼす重大課題です。市民の生活レベルが向上してより過ごしやすい生活環境が整えられ、国内外の溢れる情報をタイムリーに取得することにより国際的レベルの競争力とナレッジを身に付けるためにも、より優れたインフラを構築することは急務です。高速光ファイバーの通信網が成田に張り巡らされ、誰でも世界中から好きな情報をいつでも得ることができ、学校の授業さえも受けることができたらどんなに便利でしょうか? アメリカの郊外を訪ねるたびに感心することは池や沼、湖の水源が大変綺麗に保たれているということです。それはウォーターフロントで人間が水浴をし自然を楽しむという考え方が根底にあるからです。それ故、沼や池などへ汚水を垂れ流すことなど先進国では考えられないのです。あくまでマスタープランに基づいて郊外地の隅々まで上下水道を張り巡らせ、環境の保護を最優先しながら街造りをしていくのです。下水道の普及が100%実現し、他の汚染源が絶たれたらどんなに気持ち良いことでしょうか?印旛沼で泳ぎ、間違って水を飲んでしまっても幻滅せずに済むのです!その為には膨大な初期費用の負担をどうするかが勝負です。公共事業における業者との癒着を排除し、競争原理に基づいた大幅なコストダウンを実現すると共に、行政そのもののスリム化が列島改造の大前提といえます。

また交通渋滞にいつもはまっていては時間のロスが生じ、競争力が落ちるばかりですね。国内の交通網をより充実させるために、ここでもより一層厳しい基準を設けてマスタープランを練り直す事が必要です。まず成田を最先端の旅客と物流ハブ、輸送拠点として位置付け、10年先を見据えた上で交通網を更に整備します。例えば滑走路を更に増設した上で国内線への乗り換えを容易にする必要があります。それが不可能ならば新設される予定の筑波空港とタイアップする等、あらゆる手段を検討する必要があります。羽田で国内線に乗り換える時代はもう終焉させましょう。そして道路は十分な車線数を確保の上、新規道路工事に関しては光ファイバーを含めた地中ケーブルを完備して、企業が効率良く業務を展開できる環境を構築することも不可欠です。

日本列島改造とは最先端インフラの構築であり、それは自治体、業者、庶民の3者全てが負担を担わなければ実現しません。いかにしてプランを早急に練り上げメスを入れるか、というところに政治家だけでなく日本国の手腕が問われているのです。

通信インフラの大革命! 成田の将来がここに!

今やどこもかしこもインターネットをフル活用できるブロードバンドの普及で話題がもちきりです。日本政府が2001年1月に発表したe-Japan戦略における目論見としては「5年以内に少なくとも3000万世帯が高速インターネットアクセス網に、また1000万世帯が超高速インターネットアクセス網に常時接続可能な環境を整備」するとしています。国の政策に従って、まず最先端レベルの通信インフラを成田市全域に導入し、新規ベンチャー企業の育成と共にソフト・ハード両面における既存企業の抜本的構造改革を同時に行う目標を立てる必要があります。この通信網を活用してあらゆる有事に対応できる危機管理体制を構築することもできます。そして、高速インターネットを介して成田市民の情報収集力と教育レベルのかさ上げを図るのです。

しかし問題は山積みです。NCJでは先月よりやっとのことで導入した光ファイバー(FTTH)をとりあえず最低速度の1.5Mbpsを活用していますが、それも慣れてしまうとスピードは十分とは感じられません。またNTTの料金設定があまりにも高額なためスピードを上げることを先延ばしせざるを得ないのです。また光ファイバーの回線を各家庭に導入するためには電柱経由が一番簡単なのですが、電柱の存在そのものが国際都市化に逆行するものなので、使用を避けなければなりません。インフラに伴うケーブル類は一切地中に埋設すことが国際的常識であり、それでこそ初めて災害時にも活用し得るのです。残念なことに電柱を介して引き込むとトータルで数万円で済む工事費用が、電話線用の地下管路が存在しない場合、新設の地中ケーブルが必要となり10mで百万円とも言われています。高額なNTTの料金設定に工事コストが上乗せされては一般家庭への普及は不可能です。

もう答えは一つしかありません。成田市が先陣を切って意識革命を行い、ブロードバンドを電気や水道と同レベルの絶対に必要な社会インフラであると位置付け、それを明言した上で新築工事物件にはFTTHを導入していくことを市街地から始めて徐々に義務付けるのです。そして工事単価を下げる努力をしながら、通信事業者、ひいてはエンドユーザーの負担を少なくする為にNTTや電力会社とのコスト分担を公平に割り振りし、建築物件ごとにFTTHの導入に対して補助金を与えてはどうでしょうか?また更なるコストダウンを実現するために市で所有する地中管路を通信インフラの為に思い切って開放していくのです。福祉事業など大切な公的事業も多数あります。しかしブロードバンドの先行投資こそ日本が強くなる秘訣です。

こうして日本人の知恵を総結集して優れた社会インフラを構築しながら、新しい日本列島のスタイルを皆で造りあげていくのです。自然環境を汚染と破壊からしっかりと保護しながら、各々がライフスタイルをエンジョイすれば何と素晴らしいではないでしょうか。日本は歴史と実績を誇る素晴らしい国です。だからこそグローバル社会のリーダー格の一員として良いモデルを世界中に提供する役割を担っているのです。

(文・中島尚彦)

© 日本シティジャーナル編集部