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ホノルルマラソン激走談話 PART 2
印旛沼に誰もが楽しめるマラソン周遊コースを設置しよう!

かろうじてサブフォー、3時間台で完走することができた初マラソンへの挑戦でしたが、それまで最長でも20kmしか走ったことがない自分がその倍以上の距離である42.195kmを一挙に走り抜こうとしたこと自体、無謀と言われても仕方ありません。結果としてハーフのタイムが1時間48分、30km地点は2時間38分で通過しており、徐々にペースは落ちてきているものの、初マラソンとしては当初大変良いペースで走っていたようです。ところが問題は最後の12kmでした。突然の吐き気と無力感に襲われ、脚が棒のように動かなくなって失速してしまったのです。その結果、最後の区間を走り抜ける為に何と1時間20分もかかってしまい、その間幾度となく足が完全に止まってしまいました。想像を絶する苦しみの内に走り終えたホノルルマラソンではありますが、振り返ってみると多くの想い出を残してくれました。

マラソン大会は人の心を豊かにし地域振興にも大変役立つイベント

常夏の楽園、ハワイにおけるマラソン大会ということで期待を胸に膨らませて、大会の前日ホノルルに到着しましたが、既にワイキキビーチは街全体がお祭りムードに包まれ、どこに行っても楽しい笑い声で満ち溢れているような雰囲気を肌で感じることができました。そこには試合前の緊張感というものが無く、むしろマラソンに参加する人達を街ぐるみで応援する現地の方々の暖かいハートに包まれながら、「来て良かった!」と誰もが自然に思えるような開放感が漂っていました。ホノルルマラソンは参加者2万5千余名の大きな大会ですが、真剣にレースに臨んで新たなる記録に挑戦するランナーはおそらく全体の2-3割程しかいないのではないでしょうか。それ故大半の参加者は常夏の島、ハワイでの前夜祭ムードに酔いしれながら、翌朝のスタートに向けて心の準備をすることができます。このアットホームな雰囲気は何かしら日本の夏祭りに通じるものがあります。

マラソン大会には予期せぬハプニングがつきまとう

スタート時間のさし迫る早朝3時、仮眠から目を覚まして屋外に出ると、バスターミナルには既にスタート地点へ向かうランナー達の長蛇の列ができていました。事前に大変混雑するとは聞いていたものの、千人以上の行列にはさすがに参ってしまいました。次から次へと大型バスが迎えに来るにもかかわらず一向に列が動かないため、「本当にスタート時間まで間に合うのだろうか?」と心配しながら待つことおよそ1時間。やっとの思いでスタート地点にバスが到着した時は既に開始15分前であり、さすがに焦りを隠すことはできませんでした。そこでトイレに行ってから気持ちを整えてレースに臨もうとしたのですが、困ったことに野外に設置された簡易トイレはこれまたどこも長蛇の列です。もうすぐスタートだというのに、レース前のストレッチも十分できず、トイレの列もなかなか動かない為、本当にいらいらさせられてしまいました。幸いにもスタート1分前にかろうじてトイレから脱出することができ、大勢の群衆の中に駆け込んで花火の打ち上げと共に無事にスタートを切ることができました。走り初めてから暫くたつと市街から住宅地に入るコーナーに差し掛かり、そこに設けられた最初の給水ポイント横に設置されたトイレに飛び込んでいくランナーを何人も目撃しました。これはトイレに行けずにスタートを切ったランナーが大勢いたということなのでしょうか?

初マラソンで更に困ったことは、思ったより給水ポイントが少ないだけでなく、差し出される大きい紙コップを手にして、走りながら、しかもこぼさずして水を飲むことが実に難しいことです。走るスピードを落とさないまま紙コップで飲もうとするため、肝心な水は口に少ししか入らず、その代わりに鼻に水が入ったり、ウェアーがびしょびしょになったり、シューズが濡れたり、とにかく最初から散々な目にあってしまいました。給水ポイントを通り抜ける度に、今度はうまく飲むぞ、と意気込むのですが、振り返ってみれば何ら進歩はなかったようです。また紙コップの捨て方でもトラブルに遭遇してしまいました。勿論マラソンでは走りながらポイステをしなければならないことを知っていましたので、当然自分も水を飲んだ後、道路際にコップを放り投げて走り続けました。ところが失速して意識が朦朧としてきた最後の方では思考能力が無くなっていたのでしょう。その為何も考えずにコップを受け取って水を飲んだ後、目に入った大きなポリバケツに飲み残しの紙コップを無造作に放り投げたのです。その直後、「Oh、NO!」と若いボランティアの方の叫び声が聞こえました。ふと我に帰ってそのバケツを見てみると、何とそれはごみ箱ではなく給水タンクで、そこからヘルパーの方がコップでドリンクをすくって選手に手渡していたのです。知らないこととはいえ、綺麗なドリンクの中に自分の飲み残しを放り投げたわけですから怒鳴られても当然です。とんだ失敗を犯してしまいましたが、御免なさいとも言えず、とぼとぼと走り去りました。

最後の上り坂を必死の思いで走り抜け、後ゴールまで2kmという地点に到達すると、大型のテレビカメラを設置して大会の様子を収録しているカメラマンの姿が目に入りました。ここから、ラストスパートをかけてゴールまで一気にかっこ良く走り抜けていくランナーをバッチリとビデオ収録する為のカメラマンですから、その雄姿を記念に撮ってもらえればこんな嬉しいことはないです。しかし現実は甘くはありませんでした。初マラソンを記念して私もこの業者にビデオの収録を依頼しており、「間違いなくここは撮られている」ということはわかっていたのですが、失速が始まってから既に1時間以上経過し、修羅場をたどたどしく走ってきた自分にはかっこをつける余裕など微塵もありません。どうすることもできず、その無残な変わり果てた姿をありのままにカメラにさらけ出してしまいました。

ゴールを走り抜けるとお祭り騒ぎが待っている

マラソンのゴールシーンは正に喜怒哀楽の世界です。笑顔で両手をあげてゴールする人、苦痛の余り顔をしかめて走り抜ける人、涙を流しながら歩いている人、大声を上げて叫ぶ人、そして倒れこむ人等、実に様々です。失速に苦しんだ自分も、最後の2kmは不思議と足が動き出してラストスパートをかけることができ、その勢いで無事にゴールを走り抜けることができました。その直後はよろけながらも、マラソン会場となっている公園広場へと足を運び、疲労困憊に陥った体を少しの時間、癒すことにしました。

走り終えた、という一種の精神的快感と極度の肉体的苦痛が交錯する最中、とにかくこの会場で自分が求めたものはただ1つ、それは飲み物でした。マラソン中に少なくとも3~4リットルもの汗を流し、脱水症状で喉の渇きも極限に達していた為、会場に用意してあるドリンクを片っ端から鷲づかみにして野獣のように無我夢中で飲みまくりました。生まれてこのかた、こんなに一気に飲み物を飲んだことは無いと断言出来るほど、アメリカで人気のあるGatoradeや国産栄養ドリンクのリゲイン等、とにかく何でもおいしく飲み干していきました。その後、動かぬ足を引きずりながら、完走者だけがもらえるFINISHERのTシャツを受け取り、ホテルに戻ってすぐにホノルル空港から飛行機で日本へ帰国の途についたのです。

成田国際マラソン大会が開催される事を夢見て!

印旛沼周辺に考えられるハーフマラソンコース

日本は間違いなくマラソン大国と言えます。世界トップクラスのランナーがこの国にひしめき合うだけでなく、全国至る所でマラソン大会が開催されています。だからこそ、ランニングに適した利根川や印旛沼周辺等、自然環境に恵まれた成田でもマラソン周遊コースを設置して、最終的には本格的なマラソン大会を開いてみたいものです。

その為には、まず誰もが安全に楽しく走り、良い汗をかくことのできるマラソン・コースが不可欠であり、同時にサイクリング・ロードの併設も望まれます。米国ロスアンジェルスのサンタモニカビーチでは長い砂浜の真中に延々と幅4m以上もある変化に富んだサイクリング・ロードが設けられ、日夜大勢の人がサイクリングやローラースケート、ジョギング等を楽しんでいる姿を目にすることができます。同様に印旛沼周辺も、その地理的条件を有効に活用して、中途半端な散歩道ではなく、本格的なマラソン・コースを設置してみてはどうでしょうか。

印旛沼は国内有数の汚染沼で、誰も近寄らない程さびれたままに放置されています。人がこないから更に汚される、という悪循環を断ち切るためにも、そこに1周20km、片側の道幅2m、合計4m幅のマラソン/サイクリング・ロードを設置し、誰もががこぞって印旛沼を眺めながら運動して楽しめるように工夫してみてはどうでしょうか?人が訪れることにより、印旛沼周辺が開発され、綺麗な街へと変貌していくことは間違いありません。その為の一番の早道がマラソンであり、マラソン・コースこそ印旛沼再開発の手がかりとなる起爆剤の本命なのです。成田市界隈の人々が天気の良い休日にこぞってランニングやサイクリングをする姿こそ、国際都市にふさわしい風景として夢見るべきではないでしょうか。

(文・中島尚彦)

© 日本シティジャーナル編集部