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ロスアンジェルス国際マラソン激走談話 PART 2
印旛沼に誰もが楽しめるマラソン周遊コースを設置しよう!

1.成田市側
印旛沼周辺
2.印旛村側の
サイクリングロード
3.サンタモニカ・ビーチ 4.ニューポート・ベイ 5.ニューポート・ベイ
成田市側印旛沼周辺 印旛村側の印旛沼サイクリングロード サンタモニカ・ビーチ ニューポート・ベイ ニューポート・ベイ
  1. まったく整備されていない成田市側の印旛沼周辺
  2. きちんと整備されているが、知名度が低く人気のない印旛村側のサイクリングロード
  3. サンタモニカ・ビーチの真中に造られた大型サイクリングロード
  4. ニューポート・ベイ周辺の4m幅トラックはランニングとサイクリングに最適なコース
  5. トラックの幅が4mあれば双方向で自転車も行き来できる

マラソンとは忍耐の限りを尽くして孤独に走り続け、肉体の限界に挑戦するだけの運動に思われがちですが、実際には走りながら数々のドラマを繰り広げていく楽しいスポーツです。現実問題として最短でも2時間台、長ければ数時間以上の時間を費やして42kmという長距離を走り抜けなければならない為、必然的にランナーはコースを走りながら様々な体験を積み重ねていきます。人々の歓声や自動車の騒音を聞き、時間と競争相手に気をかけながら、そして時には考え事をしながら大地を自分の足で走り抜けていくのがマラソンの醍醐味ともいえるでしょう。

国際マラソンの醍醐味とはその土地柄を肌で感ずること

ふと気がつくと、たった3ヶ月弱の間にホノルルとロスアンジェルスという2つの国際マラソンを走り終えていました。マラソン大会に参加すれば、その街の雰囲気を肌で感じることができるだけなく、地元住民のハートが自然と心に伝わってくるというのは本当です。双方とも2万5千人以上の参加者がある大型の国際マラソンレースとして有名ですが、大都会であるロスアンジェルスでのマラソンは、レースのスターティング・ポイントやゴールも高層ビルがひしめくダウンタウンと呼ばれるロスの中心街に設置されていました。いつもは背広を着たビジネスマンがひしめきあうダウンタウンが、この日ばかりは道路が封鎖され、ランニング・ウェアーを着てウォームアップしている無数のレース参加者と、その家族や応援者で早朝から賑わっていました。

レース中には街道沿いの応援者も大声でエールを送り、特にメキシコ系の人はスペイン語で「メヒコ、メヒコ」と地元メキシコ系の選手を熱心に応援しているのが印象的でした。世界のメルティング・ポットと呼ばれているロスアンジェルスだからこそ、メキシコ系の人々だけでなく、黒人、白人、黄色人種皆が一体となってレースを見守る姿に、さすがはロスだ!と感銘を受けました。

何にも増して驚いたのは、走っている間中、自分の名前が連呼され続けたということです。ロスマラソンのゼッケンには参加者の名前が大きくプリントされているため、街道沿いの観衆はランナーの名前を見て、その名前を大声で叫んで応援することができます。だからこそ、つらいマラソンを完走するのに大きな励みとなったのがこの掛け声でした。自分の名前を呼ばれ、幾度となく「looking good !」、「you can do it !」、と大勢の観衆から励ましの声援を頂きながら走る事は、正にロスアンジェルスでしか体験できないことではないかと今更ながら思っています。

またマラソンコースではほぼ2kmごとに給水ポイントがありますが、街道沿いの至る所で応援者がランナーにオレンジ、バナナ、水、お菓子、果てはビールまで熱心に提供してくれました。筆者もこれは経験の為に、とゴール直前にビールを一口飲ませて頂きましたが、あの炎天下のロスマラソンを3時間以上走っている最中のビールですから、その味は格別なものでした。

圧巻はラスト200mのフィニィシュです。ゴール地点では少なくとも数千人の観衆がランナーのゴールシーンを見るために集まっており、そこは大歓声に包まれていたのです。しかも高層ビルの合間を走り抜けてゴールするため、最終ストレッチではビル間をこだまする大きな大歓声の反響音と、猛暑のために倒れたランナーを救助するために出動する救急車のけたたましいサイレンの音に自分が包まれ、ふと足取りが軽くなるような快感を覚えました。来年もロスマラソンに参加し、今度はぜひとも3時間30分を切って、LosAngelesTimesに自分の名前を連ねたいものです。

成田に是非とも実現したい美しいマラソン周遊コース

ロスマラソンの前日、オレンジ郡のNewport Beachという街のはずれにあるNewport ayという大きな沼を自動車で通りかかりました。そこには幅4mの美しいサイクリングロードがその沼を一周する形で作られており、土曜日ということもあって、大勢の人が自転車に乗ったりランニングをして余暇を楽しんでいました。その優雅な風景に暫く見とれながら、これぞ先進国におけるウィークエンドの過ごし方の一つなのかなと感心してしまいました。

また周遊ロードの一角には「Ecological Reserve」という看板が大きく掲げられ、この沼の周辺が環境保全地域として指定されていることが明記されていました。このように水源が街ぐるみで保護され、人々が十分に楽しめるように周辺が開発され、綺麗に維持する努力を惜しみなく実践している米国の行政の姿からは学ぶべきことが多々あるようです。サンタモニカ・ビーチ沿いにある大型のサイクリング・ロードにしても同様のことが言えますが、誰もが走りたくなるような綺麗なコースが大自然の中に造られ、そこに大勢の人々が集まるようになるだけで、沼を綺麗にしなければ、という強い意識が芽生えてくるものです。是非とも印旛沼においてもアメリカにも負けない同レベルの周遊コースを設置して、周辺環境の美化を実現したいものです。

印旛沼のサイクリングコースを市民はもっと活用すべきでは?

実は印旛沼周辺にもマラソンコースが存在し、東京湾に面した検見川浜から印旛沼を経て利根川までの54kmコースの一部となっています。特に佐倉市を中心とした西印旛沼沿いの自転車専用道路は大変良く整備されており、その周辺には金メダルジョギングコースとも呼ばれる、高橋尚子選手や有森裕子選手の名前がつけられたコースなどが存在し、マラソン選手のメッカともなっています。ところがこのサイクリングロードは成田市が隣接する北印旛沼に差し掛かると、甚兵衛大橋を基点として沼の西側、すなわち印旛村側を利根川に向かって通り抜けるため、成田市とは縁のない形で終始しています。

また成田市が直接サイクリングロードの管理に携わっていない為、こんな身近に著名なコースがあるにも関わらず、市民の大半はその印旛沼サイクリングロードの存在さえ知らないのではないでしょうか?これでは進歩のしようがありません。西印旛沼を周遊する形でフルマラソン大会まで開催している隣の佐倉市の積極的な姿勢から、成田はもっと学ばなければなりません。

周遊コースを実現する為今後の課題は山積み

印旛沼を経由する既存のサイクリングロードはトータルとして十分な距離はありますが、周遊コースではない一本道のコースであるため、一旦走り始めると一方向のみの移動となり、帰りが大変です。市民の誰もが楽しめる理想のコースとは、安全で、何の心配もなく走り続けることのできる景観の良いコースなのです。既に北印旛沼の西側にはサイクリングロードが設置されている訳ですから、そこにリンクする形で成田市側にも増設していけば、周遊コースとして成り立つだけでなく、そこから利根川や東京湾まで走り抜けることもできる大変面白いコースになります。

印旛沼周遊サイクリングロードを設置するためには多大なる労力と企画力を要します。また環境保護の実現という難関も待ち構えています。印旛沼が全国でも有数の汚染沼である理由の最も大きな原因は下水道の不備であり、浄化槽を通さないでダイレクトに印旛沼にたれ流している家屋がまだ多数あることが一番の問題です。これではいつまでたっても印旛沼のイメージは汚水ピットとしてのイメージから脱却できず、その周辺にマラソンコースを設置しても気分的にはトイレの周りを走り回っているようなものです。だからこそ、徹底した環境保全対策が不可欠であり、印旛沼を浄化する為の行政指導を全戸に義務付ける対策が必要となってきます。印旛沼周遊コースの実現は行政改革の実践を意味し、その為には尋常でない強力なリーダーシップを必要とします。是非とも期待したいものです。

あと2分少々早く走っていたらTOP484ランナーとしてLATIMESに筆者の名前が掲載されていた!

(文・中島尚彦)

© 日本シティジャーナル編集部