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第2回 自分の健康は自分で守る

この連載を始めるに当たって断っておきたいことがあります。第二次大戦終了までは漢方医学は古臭い時代遅れの医学というレッテルを貼られ、多くの人から見捨てられていました。戦争という非情な時期、兵を海外に送り、負傷したり、伝染(風土)病にかかったとき、急な要にたちません。それに漢方医学は個人個人の体質と病氣の経過を重視します。西洋医学は大量生産、大量消費に応じられるため、医療機器や内・外用薬が戦争必需であったのです。

戦後、平和が続くと、漢方医学は、個性に合わせて医療を施すことができ、再認識されるようになって来ました。 戦前は日本の民間療法と漢方は和漢医療とか皇漢医療などと表現していましたが、敗戦と共に、さすがにその名称は陰を潜めました。漢方が益々有用性を帯びて来ると、西洋医学と相対称にして東洋医学と言うようになりました。東洋にはインドやチベット、イスラムの医学などがあり、広義ではこれらを総称して言わなければなりません。が、狭義では中国伝統医学を指して通例としています。

そこでこの稿でも東洋医学と記すのは中国伝統医学というように考えて戴きます。

古代中国の生活の知恵についてもう少し記しておきましょう。端的に健康を判断するとき、快食・快便・快眠を挙げます。おいしく飲食ができ、氣持ちよい大・小便の排泄ができ、決まった時間に床につきぐっすり眠れ、朝の目覚めがすっきりとして氣分がよいこと。これを三快と呼んでいます。 三快を保つには、加えてよく心身を働かせることですが、だが過労にならないことも重要な条件です。

今日のように、物質的に恵まれていると、食べたり飲んだりが過ぎるようになり、電氣の恩恵に欲して、夜遅くまで起きていて、睡眠不足になることも少なくありません。目や耳を酷使し、ひいては体力を消耗し免疫機能低下につながります。結果は明らかです。

復原力とは、もともと船舶や飛行機が正常の位置からの変位に際して、元の状態に戻ろうとする力を指します。体力を消耗していると、元の状態、つまり健康になり難くなります。先回記しましたように、人間の身体に備わっている自然治癒力が弱まります。

病氣にかかってからでは後の祭り、何事も先手必勝が肝心です。 この当たり前が実際に行えているか否かが、人生の明暗を決する分れ道になってしまうことでしょう。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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