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第3回 自分の健康は自分で守る

東洋医学は「氣」の医学ともいわれます。そこで氣について少し記してみましょう。氣には陰氣と陽氣があります。陰氣は地の氣、陽氣は天の氣ともいわれています。陰氣は「水と穀物」と古い医学上の書物に記されていますが、飲食物と考えればいいでしょう。陽氣は「陽光と空氣」と考えておきましょう。

陰と陽という概念。これは中国の古代の自然哲理に基づくもので、二元論とも呼ばれています。一切の万物は陰陽二氣によって、互に対立しながらも、また互の存立から、いろいろな事物、事象が生まれると説いています。

生きるために飲食をし、呼吸をします。陰氣と陽氣を体内に取り入れます。これは動きですから全体として陽、これに対して睡眠は静で陰、こういうふうにして陰陽を結びつけます。対立と相生が生きる原動力といいましょうか、基本的な思考です。

話をもとに戻しましょう。地氣と天氣を得て生きていること、これについてはわかっていただいたでしょうか。何事によらず、陰陽の平衡(バランス)が正常な機能を表現します。人体の不健康には病氣と一時的な症状とがあります。症状が、ある病氣の一つであることとの区別は大切なことです。例えば、酒類の飲みすぎで頭痛がしたり、吐氣がするのは原因がはっきりしています。時間が経てば、その苦しみは消えるでしょう。肝臓や胆のうの病氣で吐氣がするのとは、同じ症状であっても区別しなければなりません。

東洋医学は養生、つまり予防を第一として発展して来たのですが、生活の矛盾から病気になってしまうことは初回で述べた通りです。

氣象や生活の乱れから生まれるものを邪氣、生来持ち合せているものを正氣といいます。正氣が邪氣に勝っていれば健康、その逆が病氣。まさに正氣と邪氣の争いで、常に正氣で身体を満たしていたいものです。

正氣と邪氣は身体の中で常に動いています。上に下に、右に左に、そして前に後というように揺れています。それが健康な状態と不健康な状態を行き来するのです。

本来、生命があるということは、常に動いて止むことのないことと定義付けられます。そういう意味では天体もまた生きていると考えます。例えば太陽系もその一つです。地球は自転しながら、一年をかけて太陽の周りを公転しています。従って私たち人間も自らの意志と意志にもかかわらず、動き続けている間は生きていると説かれています。人間のいろいろのドラマは、こうした現象の中で生かされているのです。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
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