第53回 自分の健康は自分で守る
私たちのように、戦争を経験した世代の方はご存知かと思いますが、あの頃は生きることに必死でした。先ず食べること。そしてきれいな水が飲めること、安全なところで眠ること、寒暖に合せて衣服を身につけること。これが必要、充分の…最低の条件でした。
今日では平和が続き、人々は自由な生活を保障されています。食べたいものを、飲みたいものをいつでも口にすることができるのです。いつの世もそうですが、世界には貧しい人がたくさんいます。生活に汲々(きゅうきゅう)し思い通りにならないことは辛いものです。戦争は無意味で、何の利益にもなりません。
さて、平和であればこそ個人の自由が保障されることは嬉しい限りです。衣食住が何とか得られることは幸福に違いありません。しかしながら、これは健康が加わらなければ、本当の幸せとは言えないでしょう。
衣服の装い。実にバラエティー豊かになりました。若い女性の膝上10センチのスカート。美しい脚をほこらしげに歩くのもいいでしょう。
しかし、女性の身体は男性に比べ、冷え易いのです。ですので、暖かく身体を包むことが大切です。昔は和服を身にまとい、湯文字を腰につけていました。それに対し、男性は六尺(下帯)をつけていました。女性は身体の内部に、男性は身体の外部に生殖器があり、男性器が外部にあるということは、その部がほどほどに冷えていた方が、性機能が保たれるのです。自然を上手に促えた、日本人の知恵と感心します。
ところが今日の、女性の膝上の高いスカートや男性のブリーフは、まるで自然に逆らっていると言ってよいでしょう。若い男女の結婚ばなれとともに、少子化傾向に拍車がかかっていると考えられます。
足を冷やすことにより、消化器管の機能が低下することは明白な事実です。これにより若い女性は特に血圧が降さがり、貧血ぎみになります。午前中は体がだるく、暗くなる頃に、やゝ元気をとり戻します。つい夜更をしてしまうと、その代償が、また明日の朝にやって来るのです。
冷えは身体によくありません。ましてこれから家庭を持とうとする若い女性には充分注意してもらいたいものです。
(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)
- 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。
大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。
現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。
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