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第84回 自分の健康は自分で守る
東洋医学と中国伝統医学の関係

広く使われている”ツボ”という言葉。大切な要点などの意味で日常的に用いられていますが、このツボとは中国伝統医学(漢方)の用語です。昭和23年に西洋(現代)医学に対して、東洋医学という表現が使われるようになりました。ここでお氣付きの方もありましょう。東洋とはイギリスから見れば、三部分に考えられるといいます。つまり近東、中東、極東のことです。ですから中国伝統医学を東洋医学と称するのは正確な表現ではないわけです。

しかし今日、世間一般では中国伝統医学を東洋医学として通用しています。さて、この東洋医学には漢方薬・鍼・灸・按摩(アンマ)・氣功療法を挙げることができます。

ツボは身体に分布し、そこには体内の異常が体表に現われます。従って、そのツボを通して診断に役立てられます。また、そのツボを鍼や灸、手掌や手指の刺激によって治療をすることができます。ツボの優等生とでもいいましょうか、足の三里は足の陽明胃経という経路に属しています。内臓は臓と腑に別けられます。このことは後の稿で詳しく説明したいと思います。足の三里は胃と(つな)がっていると考えられています。私は長いこと鍼灸専門学校で教師をしていましたが、特に鍼の実技を担当していました。足の三里に刺鍼する前に、胃部に聴診器を当てて胃の動きを聴きます。蠕動運動によって、ギュギューと耳に伝わります。そこで、足の三里に鍼をうちますと、2分位して活発な蠕動運動音が聴こえてきます。学生達は初めての体験に喚声(カンセイ)を上げ感心をよせます。もう一つ、例を挙げましょう。氣管支喘息で喘鳴があり、呼吸が苦しい症状の患者さんが来院します。治療前に出来るだけ、ゆっくり深い呼吸をしてもらいます。最初はいうまでもなく、呼吸そのものが乱れているのですから、深呼吸もままなりません。しかし、次第に呼吸が整ってきます。しかしそれでも十分ではありません。そこでベッドにうつぶせになって戴いて、定喘(テイゼン)肺兪(ハイユ)膈兪(カクユ)というツボに刺鍼します。直ちに呼吸が楽になるというわけではないのですが、だんだんに落ち着くようになります。

先の号で記しましたように。人は生まれながらにツボを携えてこの世に現れます。そのツボを上手に運用すれば、病氣の治療や予防ができるということは嬉しいことではないでしょうか。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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