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おばんざい 第2回

前回、記事を書かせていただいてから数日後、実家に帰り母と一緒に料理を作る機会がありました。

我が家は兄弟が多く、姉二人、弟三人と自分を入れて六人兄弟。現在、末の弟以外はみな結婚などで家を離れ、実家には末っ子と両親しかおりませんが、以前は姉弟全員が一つ屋根の下で暮らしており、その食卓はいつも賑やかなものでした。そんな大家族の台所をずっと担ってきた母の料理は、大胆で素早く出来るものが多かったように思います。一人分ごとに小皿に盛って、などといった小細工は一切なし。大皿にドカっと料理が盛られ、皆で一斉に箸でつつく大雑把スタイルです。幸いなことに我が家はみな比較的小食だったので、おかずの奪い合いといったテレビの大家族番組にありがちなイベントはありませんでしたが、それでもいま思えば、母は毎日大変な量の料理をこしらえてくれていたのだなと、ただ感心するばかりです。いい意味で手を抜かなければ毎日の料理をこなすことは難しかったであろうし、食費もばかにならなかったでしょう。きっと、食材も効率よく使われていたと思います。ですから、今井先生のおばんざいを体験させていただいた際、我が家の食卓もそれに近いものがある、と感じることができたのだと思います。何しろ大家族。大根や人参、カブなど根菜の葉はもちろん、パスタや野菜の茹で汁に至るまで、使えるものは何でも使うというエコスタイルは、節約レシピが流行る前から我が家では当たり前の光景でした。そして、今回実家で母から教わった料理も、食材を無駄にせず、且つ旨味のギュッと詰まったおいしいとこ取りの「おからの煮物」でした。作り方は簡単。基本的には普通のおからの煮物の作り方なのですが、煮汁に前日までに保存おいた野菜や魚などの煮物の残り汁を使うところが我が家のエコポイントです。

この料理は、私の母が、その母(自分の祖母)から教わったものだそうです。母から子へ、子から孫へと受け継がれてきたレシピを、自分もいつか生れてくるであろう子供たちに伝えることができればと思っています。

我が家のおばんざいは、今回で終わりとなります。たった2回ではありましたが、自分のつたない文章を読んでいただき誠にありがとうございました。

尚、今月号より急遽、おばんざいの本家、今井幸代先生の連載がスタートすることになりました。日本固有の食文化の真髄が、心に響いてきます。ぜひお楽しみください。

おからの煮物レシピ

(文・及川謙一)

© 日本シティジャーナル編集部