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クルージング その1

ヨット

今年の連休も恒例のクルージング。昨年と同様に、40代半ば過ぎの中年オヤジ4人といった色気のかけら1つないメンバーで5月3日朝4時浦賀を出港。前日の仕事を終えてハーバー到着が24時を過ぎていたため睡眠時間は4時間足らずですが、遊びの時は不思議と元気。一同揃って第一の目標、三浦半島の剣崎を目指します。朝靄の中、三浦半島越しに富士山の山頂のみ朝焼けで真っ赤に見え、これぞ赤富士としばし鑑賞。天気予報では晴れとなっていたものの城ヶ島を越えたあたりから前方にはうっすらと雨雲が見え、ポツポツ雨も落ちてくるあやしい雲行きながら、前方にはきれいな虹がかかってオヤジ一同子供の様に喜びます。無風のため使用しているエンジン音と波切る心地よいリズムに朝食のおにぎりを食べると早くも睡魔が襲ってきたため早々に朝寝。一寝入りして起きるとそこは相模湾のまんなかあたり。冬とは違ってうっすらとガスがかかり、視界は短く360°周りに陸影は見えず。吹き始めた風にエンジンも切り、ビール片手に久々のクルージングを堪能しました。いつものようにとりとめのない話が続く中、早期退職や親の介護、痴呆症など10年前には他人事だった話題も多く、お互いに歳をとってしまったことに一抹の寂しさを感じます。しかし同時に、この歳になってもまだヨットを楽しめている現状に改めて一同乾杯。話が盛り上がるわけでもなく、かといって無言でもなく、ゆったりとした時間を楽しみながら水平線上の雲の彼方を目指してひたすらヨットは進みます。時々思い出したように目的地の山影を探し、コンパスで進行方向をチェックする以外は何もすることがありません。クルージングで一番心に残る出来事は、実はこういう何もしない時間なのです。日常の生活、仕事の場所から離れて気を遣わなくていい仲間との時間は精神衛生上一番の特効薬です。

いつものように停泊港は事前に決めないで出発したためとりあえずの第一候補、小田原の西、江之浦港に10:30到着。堤防の上に群がる釣り人達の釣り糸をかいくぐって堤防に仮留めし、漁協事務所に停泊できるか確認したところ、この港は漁船のみ利用可能で一般の船は利用不可との事。国の税金で作っているのに何故一般の船が利用できないのか納得できませんが、折角の休日を楽しく過ごすため、本日の落ち着き場所を早く決めるためにもさっさと転進して再度釣り糸をかいくぐり、次の候補地真鶴港へ向かいます。真鶴港は入り口近くに私設のヨットハーバーもあり、奥には砂利運搬船も停泊する大きな港です。例によって魚市場の事務所に確認するとヨットは向かいの白い事務所で管理しているのでそっちへ行ってとの指示。港の中央を横断すると反対側にヨットのみが停泊する一角がありました。ここを本拠地としているヨットが今日は他の場所へクルージングに出ているため空きがあり停泊可能、ようやく本日の落ち着き場所決定です。本当はいつでもどこの港へ行っても1-2泊の停泊ができるシステムが整備されているのが理想ですが、まだまだレジャー用は遊びとしか理解されず日陰者の立場にあるのが日本の現状です。立派な市役所や音楽ホールを作った予算の何分の1かでもヨットの停泊施設に回してもらえればこんな苦労をしなくてもすむのにと思いますが、今回のメンバーには某市役所の職員もいるため役所の悪口ばかりを言うわけにはいかず、停泊場所に落ち着き到着の乾杯。1日目は順調な滑り出しでしたが2日目に思わぬ事件が・・・次回に続く。

(文:高坂昌信)

© 日本シティジャーナル編集部